OPINION

2014年5月

  • 佐藤将 連載コラム「ニッポンが世界を元気にする」⑦

    佐藤将 連載コラム「ニッポンが世界を元気にする」⑦

    佐藤将 コラム

    7.君島、漫画ダメなんだってよ(序)

    『先生、僕、反対です・・・』
    グローバルリーダー育成や開発という言葉を聞いて、最近思い出したエピソードがある。

    それは小学校4年生の時のこと。
    ホームルーム(生徒主導の話し合い)の時間だった。
    それが終わればすぐ放課後。
    校庭でドッチボールができる。
    (こころの声:ダッシュして校庭の良い場所をおさえなければ・・)。

    その日の議題は、「学校に漫画を持ってきてよいか?」だった。
    いわゆる少年ジャンプやマガジンなど、日本人男児にとってのバイブルの書。
    学校に持ってきて回し読みするのが習慣になっていたけど、「学校に持ってきてはいけないのでは」という提案。

    案の定、少し白熱した議論の後に「多数決で決めよう」となる。
    ホームルーム係が賛否を問う。
    「反対の人、いますか?」
    数名反対。
    (ドッチボール早くしようぜ)。

    それを見ていた先生が、
    「話し合いを続けなさい」。
    (えっ?)

    30分ほど議論の後、もう一回。
    「反対の人、いますか?」。
    予想はゼロ。
    と、「先生、僕、反対です!」
    (えっー?)。

    振り向くと、君島君(仮名)。
    (えっー??)。

    (君島、どうした・・?)。
    ごく普通な(?)君島君。
    特にグレてる少年だったわけでも、理屈っぽい奴だったわけでもない。
    特に、漫画好き、オタク(当時はない言葉)であったということもない。
    (おい、どうした君島・・・??)。

    と突然、先生が、すくっと立ち上がる。
    「みんなで、ゆっくり君島の話を聞こう」。
    (えっー?、えっー?)。

    (先生言ったじゃん、民主主義は多数決だって・・・)、
    (民主主義が一番いいんじゃないの、議論と多数決で決めるんじゃないの・・・)、
    (君島、ドッチボール・・・)。

    毎日、一緒にドッチボールをしてくれる先生。
    学生時代、卓球で国体に出たほどの選手で、若くて熱血漢。
    いつも明るく笑顔で、生徒にも大人気だった。

    でも、その時は、先生の表情が違った。

    真剣なまなざしで、君島君の話を聞き出そうとする。
    あまりの迫力に、教室中がシーンとなる。
    不思議な熱を帯びてくる。

    だんだん君島君には、抵抗するロジック(理屈)なくなってきている気がするけど、先生は終えようとしない。
    沈黙の時間だけが流れる。
    終わらないホームルーム。

    「先生、いったい何を伝えたいの・・・」。

    そんなモヤモヤ感だけが残った。
    強く深く、心に残った。

    *************************

    20世紀は、全体主義と競争(バトルロワイヤル)の時代だった。

    第一次世界大戦に始まるその世紀には、二度の世界大戦の他、冷戦があり、多くの民族紛争があった。東西様々な主義(イデオロギー)が出現したが、いずれも、多数派が少数派を圧する(あるいは、強者が弱者を圧する)という点において類似したものだった。
    それが近代化における文明化(シビリゼーション)の一側面。

    90年代(ナインティーズ)に入ると、その主戦場(バトルフィールド)は資本主義社会(マーケット)へと移行する。

    その中で始まったグローバルなサバイバル・ゲーム。

    *************************

    昨今、日本において、グローバルリーダーに関する議論がある。
    「グローバルリーダーとはどういう人?」、
    「どうやって育てるの?」。

    ここ20数年来の、いわゆるナインティーズ・パラダイムを簡単に(筆者流に)要約すると、
    「リーダーとは、開発するもの」。
    「①競争(コンペチション)を煽って、②トップ10%(上位一割のタレント)を選抜、③特別なトレーニングをあてがい、④2〜3年サイクルで修羅場体験を与え続け、④バトルロワイヤルを重ねていけば、戦略的なリーダーが育つ!」。
    「その仕組み(タレント・マネジメネント・システム)さえあれば、グローバルな時代になっても大丈夫。電化製品やビジネスマシーン同様、グローバルリーダーを大量生産できる」。
    「リーダーシップ・パイプラインだ!、タレントマネジメントだ!」、
    「よっしゃ、クローン大戦を仕掛けろ!」、
    「レッツ世界征服だ〜♪」・・・・・・

    それが、グローバル?
    この世界のリーダー??????
    《次回に続く》


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