OPINION

2014年9月

  • 佐藤将 連載コラム「ニッポンが世界を元気にする」⑧

    佐藤将 連載コラム「ニッポンが世界を元気にする」⑧

    佐藤将 コラム

    8.君島、MANGAいいかもよ (破)

    ≪前回より続く≫

    「あれが、デネブ、アルタイル、ベガ」
    それは中学2年生の時だった。

    なぜか陸上部の夏合宿に参加した。
    最終日の前夜、突如、誰かが、
    「湖まで行こう」と言い出す。

    (おい、本気かよ・・)
    (先生に見つかったらどうすんだよ・・)
    (何分歩くんだよ・・)
    (それに、外は真っ暗だよ、怖くねえか・・)
    (・・・)

    「よしっ、行こうぜ!」。

    2年生だけ5〜6名で、合宿所を抜け出す。
    長野の高原の真っ暗な畔道を歩く。
    「お〜怖え〜、オレ、帰るよ〜」、慎重な田中君が叫ぶ。
    「おー帰れよー」・・・田中君、帰れるはずもなく。

    どのくらい歩いたのだろう、
    「おー着いたぞー!」
    駆け足で、水辺まで走る。

    そして、仰向けに転んだ瞬間、
    (ウヮァー)
    空から星が降ってきた。

    「あっ、夏の大三角形が見えるぞ!」、誰かが叫ぶ。
    (えっ、どれ、どれ?)
    「あれだよ、あれ、あれ、あれ!」
    (あれが、デネブ、アルタイル、ベガ・・・)。

    その後、いろいろな場所で、いろいろな星空を見たけれど、
    あの時のセンセーションは、忘れられない。

    *************************

    先日、ある若手中堅向けのリーダーシップ研修でのこと。
    受講者全員が、自分らしい(自分固有の、最近グローバルで言われるところのオーセンティックな)リーダーシップを発揮した経験を振り返る。その後、「もし、今、それを発揮できないていないとすれば・・・それは、なぜ?」という議論をする。

    そこで見えてきたのは、
    「失敗が怖い」、
    「周りに同調されなかったら恥ずかしい」、
    「経験が(失敗経験が)、邪魔をする」、
    という、ためらい、でも、

    「自分に期待されているかがわからない」、
    「自分は、そういうポジション(立ち位置)ではない」、
    という、まよい、でもなく、

    「言い出しっぺが損をする」、
    「リスクを取ってやった人たちが損をしている」、
    「評価されない、報われない」、
    という、一見かしこい、合理的な判断、でもない。

    では、いったい何が、彼ら彼女たちのリーダーシップを束縛しているのだろう?

    *************************

    最近ふと気づいた、「この世界」の意味合いが世代によって違うことに。

    ある世代以上になれば、「この世界」といえば海外やグローバルといった地球規模的な『空間』を指していた。「世界で戦う」、「世界で勝つ」、「世界で勝ち続ける」、「世界で生き残る」、エトセトラ。

    それが、新世代(ニュー・ジェネレーションズ)になると、空間が自分の半径内に狭まる代わりに、時間軸が一気に広がる。過去の延長線上にはない『不連続な未来』へと。「この世界は、不確実で不透明」、「割り切れない、この世界だけど」、「迷い苦しんでも、自分たちで選び取った、この世界だから」、「僕たちは、この世界で生きていく」・・・

    そこにあるのは、未来に対する不安や恐れ。そして、「そんな時代に生まれてしまった」というアンフォーチュネートな(不運な)運命へのあきらめ感。それは、日本の若者だけでなく、欧州をはじめとした21世紀の多くの先進国の若者に共通する感覚なのかもしれない (Loads loads loads of things are going in life)。

    けれど、ニュー・ジェネレーションズに特徴的なことは、その諦念を裏返し、不思議な明るさで戻ってくることだ。「未来は不連続だけど、この世界で生きていこう。(迷い苦しんでいるのは)ひとりじゃない、力を合わせて」と。

    そこにあるのは、世代間での対立でもなければ、社会階層間の闘争でもない。格差への剥き出しの怒りでもなければ、運命への嘆きでもない。ただ、静かな哀しみと覚悟。

    そこに、日本の新世代が持つ、「この世界」のリーダーとしてのクールさがある。
    21世紀のグローバルリーダーとしての突出した可能性と未来がある。

    *************************

    もし、一部の若手や中堅のリーダーシップを束縛しているモノがあるとすれば、それは、「本来の自分とつながれていない感覚」なのかもしれない。

    その部分をないがしろにして、ただ企業側が求める物差しを、リーダー要件や役割基準として押しつけても、真のリーダーシップは覚醒しない。・・「役割ばかりにとらわれて、本当は何をしたいの?」。

    90年代(ナインティーズ)に流行った、目標管理や評価に基づく誘因(外発的動機づけ)を、仕組みとして押しつけても、もはや時代遅れ。・・「目標ばかりにとらわれて、大事な気持ち、置き去りにしていない?」。

    忙しいけど、心のチューニング。

    *************************

    あの夏の夜、突如、湖上にあらわれた星空。

    もしかしたら、「星空というものは、目指すものでなく、一緒に見上げるものだ」と悟った時、人は、他者(お互い)に対しても、地球に対しても、やさしくなれるのかもしれない。

    だとしたら、21世紀のルネッサンスは、地球の重力に魂を縛られたまま起きる、のかな。

    君島、やっぱ、MANGA、悪くないかもよ -
    ≪次号に続く≫

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