OPINION

2015年7月

  • 小森谷浩志 連載コラム「東洋思想と組織開発」⑤

    小森谷浩志 連載コラム「東洋思想と組織開発」⑤

    小森谷浩志 コラム

    第5回

    仏教とは何か?
    大きな問いです。

    仏とは仏陀のことですので、「仏陀の説いた教え」というのが、
    一番自然に導かれる答えでしょう。

    また、初回にも触れたように、仏陀とは「目覚めた人」の意ですので、
    「目覚めるための教え」、「悟りをえるための教え」とも言えそうです。

    つまり、仏教とは「仏陀の説いた教え」と、
    「目覚めるための教え」の2つの意味があると言えます。

    仏教には地域という観点だけでも、
    インド、中国、朝鮮、日本、チベット、スリランカ、タイ等があり、
    最近ではアメリカ、ヨーロッパ仏教という言い方もあります。
    伝播ということでは、北伝、南伝とも言いますし、
    思想としては、原始、小乗、大乗、密教などもあります。

    時代性や地域性に合わせて、目覚めるにはどうしたら良いのだろうかを、
    探求し発展してきた教えととらえることができると思います。

    さらに、仏教を今なお、発展し続けているとダイナミックに捉えると、
    仏陀の説いた教えを基礎としながら、それを謙虚に学びつつ、
    今のわれわれの生活に活かすものであるし、
    その責任が委ねられているとも言えそうです。

    唯一絶対の経典があって、それに従わねばならないというのとは、
    明らかに違う、変化や関係性の彩りを感じます。

    このコラムのテーマは「東洋思想と組織開発」。
    ここまで、変化、脱皮、幸福というキーワードを考えて来ました。
    今回は、仏教とは何かという根源的問いから、
    仏教の特徴を捉え直してみました。
    多様で、現在も変化、発展中なのが仏教と言えそうです。

    さて、皆さんへ質問です。

    唯一絶対の答えが無いとしたら、あなたはどうしますか?


    次回からは、禅の基本的手引き「十牛図」をとりあげ、
    組織開発について探求を続けていきたいと思います。

  • 佐藤将 連載コラム「ニッポンが世界を元気にする」⑨

    佐藤将 連載コラム「ニッポンが世界を元気にする」⑨

    佐藤将 コラム

    9.君島、まんが、いきなり世界だよ(急)

    ≪前回より続く≫

    「映画のようなワンシーン」

    東京の地下鉄はその正確性で有名だけど、だからと言って、海外の地下鉄で起きる偶然のハプニングも悪くない。

    その日、ロンドンの地下鉄は1時間近く立ち往生した。
    初夏の金曜日、
    夕方のラッシュアワー、
    オリンピック準備のためという車内アナウンス。
    でも、さすがロンドンっ子、
    皆、何事も起きていないかの如く、
    手持ちの本やキンドルに集中している。

    ようやく動きだし、
    ウインブルドン・パーク駅(※
    参照)に到着する。
    と同時に、一斉に降りた乗客が、駅の階段を駆け登る、
    いつもより小走りで。

    その時、群衆の中を一人の男性が、駆け上がっていった。
    恐らく20代後半、金融街で働く真面目そうな紳士。
    彼が通り過ぎる際、なぜか、ふと目が合う、
    0コンマ数秒で交わす無言の挨拶。

    階段を上りきり、小さな改札を抜ける。
    テニスの大会前の、いつも静かな駅、
    初夏の空は、もう群青色に染まっている。

    いつものように駅を出てすぐ左折する。
    っと、その瞬間、
    (???)
    先ほどの若い紳士が、かがんでいた。
    見ると、彼の目の先には大きな毛並みの良い犬。
    (!)
    その数メートル後ろ、
    シャッターが降りた駅の売店の片隅には、
    憂いに満ちたアンニュイな女性。
    二人?を見て、
    安堵の笑みを浮かべる。

    時間が止まったように感じた瞬間、
    そこにいっさい、言葉はなかった、
    ただミュージックだけが流れていた。

    ************************

    いつからだろう?

    言葉こそがコミュニケーションだと思い込んでいた。
    言葉にして伝えることが、異文化を越える、グローバル・コミュニケーションだと思い込んでいた。
    もしかしたら、そう思い込むことで、この世界で楽に生きようとしていたのかもしれない。

    「そうだったのか・・・」

    ウインブルドンの丘を登る坂道、仰いだ夜空に青い月が輝いていた。

    *************************

    最近、日本企業のグローバル研修をしていて、一つの変化に気づいた。

    かつては、「カルチュアの違い」がコミュニケーション・ギャップの理由、或いはエクスキューズとなる傾向が強かった。今でも、ある世代以上になると、日本人、外国人を問わず、その傾向は強い。

    ただそれが、新世代になると「ジェネレーションの違い」に移る。

    「文化の違いですか??」
    「・・・うーん、あまり気になりませんね」
    「それより問題は、世代の違いです」
    「上の世代は、私たちの世代を理解していない」
    「にも関わらず、自分たちの旧いマネジメントを押し付けてくるんです」
    「育った環境が違うのに、経済環境も、グローバルも、インターネットも・・」
    「それに人生の価値観も違う」。

    *************************

    今から10年後、世界の労働人口の75%、4人に3人が、「ミレニアル世代」と呼ばれる1980年〜2000年に生まれた人々で占められる(現在は15歳〜35歳→10年後は25歳〜45歳)。

    既に多くの海外企業が、その世代を意識したマーケティングを開始。同時に、人類史上、最もクリエイティブと言われるその世代を活かすため、様々なマネジメントの取り組みが始められている。

    一方、日本では、10年後のミレニアル比率は36%、約3人に1人強になる。世界平均の半分以下、国内でも圧倒的なマイナリティであるせいか、本来、金の卵として扱われてもおかしくない、彼ら彼女たちに対する取り組みは、一部の先進企業でしか取り組まれていない。

    5年後、10年後、世界で仕事するための準備、できていますか?

    ************************

    かつて、グローバルは、本国で売れたものを、段階的、国別に「外国」に持っていくことだった。
    けれど今、グローバルは、「いきなり世界」の時代。

    当然、グローバルにおけるリーダーの考え方も変わってくる。

    以前、「グローバル・リーダー」とは、「資本主義xグローバル化xネットワーク化」で生まれる<新しい秩序>や<システム側>のリーダーとなっていくことを意味した。

    けれど、近年は、逆に、巨人化するグローバル資本主義の中で生まれる歪みや格差、超管理社会(ディストピア)化が進む中で叫ぶ誰かの声に応えるために<マルチチュード側>や<社会起業家的>なリーダーになることが、特に若い世代を中心に、広まった。

    これからは、その近代的二項対立を越え、<両者をつなぐ立ち場>のリーダーが必要になってくるのかもしれない。その立ち場に、世界で最も一番近い位置にいるのが、日本の新世代(ニュー・ジェネレーションズ)。年齢に関わらず、その可能性を持った人々に出会う機会が増えた。

    いずれの選択にしても、これからのグローバル・リーダーに求められる要件は、『文化や世代を越えるコミュニケーション力』。

    それは、討論や多数決で片をつけるようなモダン(前世紀的)なコミュニケーションではない。ましてや軍事力や権力を背景にした交渉や圧力でもない。

    もっと人間的なダイアローグ。
    多様な世界だからこそ覚醒される、言葉を越えた五感のダイアローグ(ミュージック)。

    ************************

    小学校4年生が終わった春休み。
    担任の盛岡先生の田舎に、クラスのみんなで遊びに行った。
    神戸からローカル線に揺られて1~2時間。
    そこは、まるで、まんが日本むかし話で見たような山里。
    先生のご実家でお昼をご馳走になった後、近くのお寺でドロケイをした。

    楽しかった。
    夢中だった。

    あの時、まだ知らなかった、未来が想像を越えていくことを、
    ・・・数えきれない偶然(Happenings)こそが、人生の必然(Constellation)であったという運命(Fortune)を。

    *************************

    もしかしたら、21世紀、「この世界のリーダー(グローバル・リーダー)」とは、国境の壁(Border)を越えていける人ではなく、自分の運命だと思っていた運命(Border)を越えていける人なのかもしれない。

    もし、この世界の誰もが、運命(Border)を越え、運命(Fortune)とつながれるのだとしたら・・・21世紀の現実が、まんがの世界を越えていく、のかな。

    「君島、おまえ、間違ってなかったかもな」


    ≪シリーズ一部完結≫

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