重光 直之2025.10.02
コロナ禍以降,コミュニケーションが難しくなってきたというお話を多く聞くようになりました。しかし,変化をよく見ると,コミュニケーションが難しくなってきたのはそれ以前からで,コロナは起こりつつあった変化を加速しただけだということが分かります。
本シリーズでは,コミュニケーションの難しさの原因を紐解くとともに若者世代の特徴を明らかにします。
そして,具体的にどうコミュニケーションしていけばいいのかを考えていきたいと思います。
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■1 どんなコミュニケーションがされているのか
あなたの組織では,どのようなコミュニケーション
をとろうとしているのでしょうか。例えば,高度経済成長期に多く見られた,指示命令型のコミュニケーションでしょうか。このタイプの組織では,上司が向かうべき方向や目標を定めて部下を統率していきます。
一見,簡単そうに見えますが,結果はもちろん,部下の成長に対しても上司が責任を持ち,しっかりとした部下指導が必要になります。
指示命令型が機能しなくなってくると,個々が自分の成果に責任を持つことを宣言する契約型にシフトしてきました。一人一人の責任範囲を明確にして,達成すべき成果も測定できることが必要になってきました。
ジョブ型人事制度が典型的なしくみで,成長も自己責任となり,「自律」がキーワードになりました。大企業において多く見られます。
しかし,契約をしたら,それでうまくいくとは限らず,やる気を引き出す対話を行ったり,全体の目標に対する共感を促したりということが必要になってきました。多くの企業で1on1 が推奨されているのは,こ
の流れです。対話型のコミュニケーションへと推移しています。
便宜上,3つのタイプに分類しましたが,いずれかのタイプに明確に分類されるわけではありませんし,複数のタイプに属する制度やしくみが入っていることもあるでしょう。例えば,ジョブ型人事制度のもとで,成長を支援するための1on1 を導入しているといったケースです。
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\クオリティ・クラブ No.40 2023年 9月・10月号に掲載された記事です/