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佐藤将 連載コラム「ニッポンが世界を元気にする」④

佐藤 将2013.10.16

4.みんな、なにげにガンバっているから

『最近、褒めてあげたことないですね・・・』
日本企業のマネージャーさんたちの声。
「部下とのコミュニケーションですか?」、「いやー最近、時間が無くて」、「次から次にトラブルが起きるんですよ」、「一応、毎月チームミーティングはしていますが」、「目先のことに追われていて」、「指示は出してますが、フォロースルーはできていなくて」。「え、褒めたこと、ですか?うーん、ないですね」、「逆に叱ってばかりですよ」・・・

『ねぎらいの言葉ひとつでも、いいんです』
日本企業の若いスタッフさんたちの声。
「え、褒めてもらったことですか?・・・」、「うーん、最近ないですね」、「別に褒めてもらわなくてもいいんですけど」、「自分、がんばっているとは思わないし」、「ただ現場でがんばっている他の人たちには、もう少し上は気を配ってあげても」、「みんな大変な中でも頑張っているので」、「"ねぎらいの言葉"一つでもいいんです」・・・

最近、周りの人に、"ねぎらいの言葉"をかけたこと、ありますか?

なにげに頑張っている人に
なぜかいつも忙しい人に
現場で汗かいて働いている人に
大事な仕事で苦労している人に
最近、昇進した人に
たった一言でも・・・

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20世紀は、「近代合理主義」が花咲いた時代であった。
「経済的、合理的、効率的」であること。それを追求することこそ、理知的であり、洗練であり、近代化された文明国の市民精神である。それこそが、資本主義社会のよって立つ精神であり、「運命はあらかじめ決められている」という思想的呪縛にある中で、「神様のご褒美」を求める人間を救済する美徳となっていった。

日本においても、その精神は、戦後、「近代合理主義」という美名のもとに奨励され、「合理的であること=善」、昭和後期の一つの絶対価値とされていった。

果たせるかな、「近代合理主義」の過度の追求は、いつの間にか、人間をリソースやキャピタルといった物質(マテリアル)へと貶(おとし)め、細分化&標準化されたシステムの中で、神様のご褒美(マネー)を求めて働くビジネス・マシーン(歯車、アンドロイド)へと仕立て上げていった。最近、多くの日本企業の方々をインタビューをしていて感じる、「近代合理主義」の呪縛。

人間を、人間疎外(ニヒリズム)から救済しようとした思想が、逆に人間を疎外するというパラドックス。

勿論、「褒めたり、ねぎらったり」という行為が、業績アップに貢献するというサイエンスはない。
それを実証するデータもシステムもない。もしかしたら、そんな「非合理的」な事をしている暇があったら、リソース(社員)を業務に集中させ、生産性をアップした方がよいのかもしれない。
けれど、21世紀も、それでいいのでしょうか?

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かつて、海外で働いているとき、若い世代の同僚が持つ、繊細な気遣いに驚かされた。誰かが、ちょっとでも気を落としていると、「ハーイ」、「オーライ?」と、とても細やかな表情で、声を掛け合っていた。時に、ちょっとした態度や仕草で、声に出さずとも、お互いをケアしあっていた。

振り返れば、昔、海外日系企業の方達とお仕事をさせていただいた時も、そんな細やかな気遣いできる方々で溢れていた。

今日、急速にグローバル化する日本ですが、そうしたヒューマンな部分を、どれだけ海外で発揮できているのでしょうか?

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先月の事。
徹夜明けで疲れ切った同僚が、一仕事を追え、残業をしていると、別のチームの若いスタッフが、何気なくお菓子の差し入れをしに来た。さりげなく、なにげなく。

なぜだろう?

今のニッポンの若者たちには、昔の(今の70歳以上)の日本人が持っていた「気遣い」や「繊細さ」、人間的な「潤い感(ウエット感)」がある。それを表現するのが抜群に上手な子もいれば、そうでない子もいる。けど、みんな、お互いへのケアができ、無言(サイレンス)で伝えるコミュニケーション能力も備わっている。それは、海外で筆者が見た若者達にも通ずる。

21世紀の今日、「合理主義」と「ヒューマニズム」という矛盾してしまう思想を、何か東西の新しい概念で統一することできたら、「日本発21世紀のルネッサンス」は、もっと面白くなるかもしれない:-)

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ご褒美(ほうび)は、日本語で、「ほめて、うつくしい」と書く。
ほめて、与えること(Giving)。
ほめて、たたえること。
人間が、人間に対して行うもの。

人間だけが、お互いの明日の運勢を、昨日よりも少しよくすることができる。

だから、世界中のみんな(人間)に・・・
"Congratulation" -

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