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佐藤将 連載コラム「ニッポンが世界を元気にする」⑨

佐藤 将2015.07.17

9.君島、まんが、いきなり世界だよ(急)

≪前回より続く≫

「映画のようなワンシーン」

東京の地下鉄はその正確性で有名だけど、だからと言って、海外の地下鉄で起きる偶然のハプニングも悪くない。

その日、ロンドンの地下鉄は1時間近く立ち往生した。
初夏の金曜日、
夕方のラッシュアワー、
オリンピック準備のためという車内アナウンス。
でも、さすがロンドンっ子、
皆、何事も起きていないかの如く、
手持ちの本やキンドルに集中している。

ようやく動きだし、
ウインブルドン・パーク駅(※参照)に到着する。
と同時に、一斉に降りた乗客が、駅の階段を駆け登る、
いつもより小走りで。

その時、群衆の中を一人の男性が、駆け上がっていった。
恐らく20代後半、金融街で働く真面目そうな紳士。
彼が通り過ぎる際、なぜか、ふと目が合う、
0コンマ数秒で交わす無言の挨拶。

階段を上りきり、小さな改札を抜ける。
テニスの大会前の、いつも静かな駅、
初夏の空は、もう群青色に染まっている。

いつものように駅を出てすぐ左折する。
っと、その瞬間、
(???)
先ほどの若い紳士が、かがんでいた。
見ると、彼の目の先には大きな毛並みの良い犬。
(!)
その数メートル後ろ、
シャッターが降りた駅の売店の片隅には、
憂いに満ちたアンニュイな女性。
二人?を見て、
安堵の笑みを浮かべる。

時間が止まったように感じた瞬間、
そこにいっさい、言葉はなかった、
ただミュージックだけが流れていた。

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いつからだろう?

言葉こそがコミュニケーションだと思い込んでいた。
言葉にして伝えることが、異文化を越える、グローバル・コミュニケーションだと思い込んでいた。
もしかしたら、そう思い込むことで、この世界で楽に生きようとしていたのかもしれない。

「そうだったのか・・・」

ウインブルドンの丘を登る坂道、仰いだ夜空に青い月が輝いていた。

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最近、日本企業のグローバル研修をしていて、一つの変化に気づいた。

かつては、「カルチュアの違い」がコミュニケーション・ギャップの理由、或いはエクスキューズとなる傾向が強かった。今でも、ある世代以上になると、日本人、外国人を問わず、その傾向は強い。

ただそれが、新世代になると「ジェネレーションの違い」に移る。

「文化の違いですか??」
「・・・うーん、あまり気になりませんね」
「それより問題は、世代の違いです」
「上の世代は、私たちの世代を理解していない」
「にも関わらず、自分たちの旧いマネジメントを押し付けてくるんです」
「育った環境が違うのに、経済環境も、グローバルも、インターネットも・・」 
「それに人生の価値観も違う」。

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今から10年後、世界の労働人口の75%、4人に3人が、「ミレニアル世代」と呼ばれる1980年〜2000年に生まれた人々で占められる(現在は15歳〜35歳→10年後は25歳〜45歳)。

既に多くの海外企業が、その世代を意識したマーケティングを開始。同時に、人類史上、最もクリエイティブと言われるその世代を活かすため、様々なマネジメントの取り組みが始められている。

一方、日本では、10年後のミレニアル比率は36%、約3人に1人強になる。世界平均の半分以下、国内でも圧倒的なマイナリティであるせいか、本来、金の卵として扱われてもおかしくない、彼ら彼女たちに対する取り組みは、一部の先進企業でしか取り組まれていない。

5年後、10年後、世界で仕事するための準備、できていますか?

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かつて、グローバルは、本国で売れたものを、段階的、国別に「外国」に持っていくことだった。
けれど今、グローバルは、「いきなり世界」の時代。

当然、グローバルにおけるリーダーの考え方も変わってくる。

以前、「グローバル・リーダー」とは、「資本主義xグローバル化xネットワーク化」で生まれる<新しい秩序>や<システム側>のリーダーとなっていくことを意味した。

けれど、近年は、逆に、巨人化するグローバル資本主義の中で生まれる歪みや格差、超管理社会(ディストピア)化が進む中で叫ぶ誰かの声に応えるために<マルチチュード側>や<社会起業家的>なリーダーになることが、特に若い世代を中心に、広まった。

これからは、その近代的二項対立を越え、<両者をつなぐ立ち場>のリーダーが必要になってくるのかもしれない。その立ち場に、世界で最も一番近い位置にいるのが、日本の新世代(ニュー・ジェネレーションズ)。年齢に関わらず、その可能性を持った人々に出会う機会が増えた。

いずれの選択にしても、これからのグローバル・リーダーに求められる要件は、『文化や世代を越えるコミュニケーション力』。

それは、討論や多数決で片をつけるようなモダン(前世紀的)なコミュニケーションではない。ましてや軍事力や権力を背景にした交渉や圧力でもない。

もっと人間的なダイアローグ。
多様な世界だからこそ覚醒される、言葉を越えた五感のダイアローグ(ミュージック)。

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小学校4年生が終わった春休み。
担任の盛岡先生の田舎に、クラスのみんなで遊びに行った。
神戸からローカル線に揺られて1~2時間。
そこは、まるで、まんが日本むかし話で見たような山里。
先生のご実家でお昼をご馳走になった後、近くのお寺でドロケイをした。

楽しかった。
夢中だった。

あの時、まだ知らなかった、未来が想像を越えていくことを、
・・・数えきれない偶然(Happenings)こそが、人生の必然(Constellation)であったという運命(Fortune)を。

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もしかしたら、21世紀、「この世界のリーダー(グローバル・リーダー)」とは、国境の壁(Border)を越えていける人ではなく、自分の運命だと思っていた運命(Border)を越えていける人なのかもしれない。

もし、この世界の誰もが、運命(Border)を越え、運命(Fortune)とつながれるのだとしたら・・・21世紀の現実が、まんがの世界を越えていく、のかな。

「君島、おまえ、間違ってなかったかもな」


≪シリーズ一部完結≫

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