重光 直之2025.05.07
こんにちは。株式会社ジェイフィールの重光です。
前回のコラムでは、「日本企業とドイツ企業のマネジメントの違い」についてお伝えしました。
ドイツ企業では、日本で言う、いわゆる中間管理職的な立場の役職がなく、自律した個人の集合体による自律したチームが、裁量と決裁権を持ってスピーディーに業務に取り組んでいる企業が多いとのことでしたね。
そして、そのチームを束ねるマネジャー(=管理職)は、成果をもらう側の人間として、チームを動かし、成果が最大限となるようなチーム編成やチームへの仕事配分などのマネジメント業務を行っているようです。
今回のコラムでは、皆さんからの質問が集中した
1.ドイツ企業でマネジメントシェアリングが生まれた理由、きっかけ
2.マネジメントシェアリングをする人達の相性、マッチング方法
についてお伝えしていきます。
ドイツ企業でマネジメントシェアリングが生まれた理由、きっかけとは?
前回のコラムでは、ドイツ企業では細かいヒエラルキーをなくし、個人、チームに裁量を持たせた働き方が1980年代後半から1990年代に政府主導で企業に導入された結果、仕事の効率と成果が向上した、と伝えましたが、マネジメントシェアリングが生まれたのも丁度この頃からのようです。
日本でもブラック企業という言葉が流行り出したこの頃、ドイツでも同様なことが起こり、政府主導でまず導入されたのが「ジョブシェアリング」でした。
日本で「パートタイマー」というと、非正規雇用者が、時給で働くイメージですが、ドイツのパートタイマーは非正規ではなく正社員です。
正社員が諸事情により時短勤務で働く「パートタイマー」になった場合、当然時間が足りなくなるわけで、そこで生まれたのが同じ業務を分担する「ジョブシェアリング」だったとのこと。
その後、そんな社員が管理職になった際、更に時間が足りなくなり生まれたのが「マネジメントシェアリング」のようです。
女性でも男性でも介護、子育て、自分の時間に費やすことが出来るシェアリング制度は、自分がいなくても仕事がまわっているという安心感から、マネジメントする側もされる側にも重宝され、今では当たり前のように採用されている企業が多いとか。
「マネジメントシェアリング」は、“管理職たるもの、自分と家族の時間を犠牲にしても働くべし!”という古風な思考から完全に解き放たれた制度であることは間違いないようです。
マネジメントシェアリングをする人達の相性、マッチング方法とは
マネジメントシェアリングは大抵2人のマネジャーが一つのマネジメント業務を分担する制度ですが、誰と誰がペアを組むのか、はもちろん重大な問題です。
このペアリングは「お見合い制度のようなもの」だそうで、マネジメントシェアリングをする双方の、更に上の階層の人が、マネジャー達の様子を見て「この人とこの人がマネジメントシェアリングをすれば良さそうだ」と考え、「〇〇さん!、●●さんと組んでみない?」などと声をかけるそう。
それは、お互いのキャラクターを知っている上長だからこそ、化学反応が起きそうな、2人で組むと違う観点、発想が融合してイノベーションが起きそうな人をマッチングさせる、いわば、仲人的な存在なのだとか。
最近では、前述の仲人制度に加え、社内イントラで情報を掲載するなど、ITを活用した方法も出てきているようで、仲人制度がマッチングアプリ制度に変わってきた企業も多いようです。
いずれにせよ、一人のマネジャーでは気が付かない問題点や改善点などが見つかる、お互いの得意分野で意見を出し合い、新たな発想、価値が生まれる、などいいことずくめの制度だそうで、自分にはないものを持った管理職同志のマネジメントシェアリングは、今後も広がっていきそうです。
次回のコラムは
・マネジメントシェアリングをしているマネジャー2人の責任の所在、業績評価
・マネジメントシェアリングの効果・成果
についてです。
日本では「人と同じ仕事をすると責任の所在が曖昧になるのでは?」という懸念が想定されますが、ドイツでは2人の責任の所在、成果・評価機基準がどのようになっているのか、について解説します。