重光 直之2025.05.14
こんにちは。株式会社ジェイフィールの重光です。
前回のコラムでは、
• ドイツ企業でマネジメントシェアリングが生まれた理由、きっかけ
• マネジメントシェアリングをする人達の相性、マッチング方法
人生の中で、育児や介護など、仕事だけに時間を費やせない時期があっても、ジョブシェアリングやマネジメントシェアリングなどの制度があれば、キャリアを中断することなく働き続けられ、働くモチベーションも持ち続けられる、素晴らしい制度であることを学びましたね。
今回のコラムでは
• マネジメントシェアリングをしているマネジャー二人の責任の所在、業績評価
• マネジメントシェアリングの効果・成果
についてお話します。
二人で同じ業務を担う場合、責任の所在をどうするのか?また、評価はどうなるのかとても気になりますね。
相性のいい二人がタンデム(=コンビ)を組んでいるとは言え、業務の中で行き詰まることや、必ずしも良いことばかりではない、と容易に想像がつきます。
そんな時、どちらが責任を取るのか。
又、目標以上の成果が出た時、二人が同等の働きをしているとも限らない中で、評価はどうなるのか?
ドイツ企業の事例について伺いました。
マネジメントシェアリングをしているマネジャー二人の責任の所在、業績評価とは
結論から言うと、責任も業績評価も完全にシェア。だそうで、二人で一人の仕事を請け負う以上、完全に二分だそうです。
「共同リーダーシップ」「リーダーシップDUO」という言葉があるようで、どちらか一方に責任・評価が偏ることはないようです。ただ、得意分野の違う二人がタンデムを組んでいることが多く、数字が得意な人はそちらを多めに、マーケティングが得意な人はそちらを多めに、など、業務分担内容のメリハリはあるようです。
その方が、お互いに苦手分野を補完しながら、得意分野を伸ばすことが出来、一人では成し遂げられないような成果が得られると言います。
マネジメントシェアリングをしている二人が全く同じ責任を負い、等しく評価される。同じことを「共同CEO体制を成功させる方法」(ダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビュー2022年11月号)でも見かけました。この論文には、「共同CEOは組織全体の業績に対するアカウンタビリティをともに負うべきだ。四半期の決算書には2人で署名し、報酬も等しく得るべきである。筆者らが調査したある企業では、共同CEOが同額の報酬を得ていると強調し、一方のCEOは『1ペニー単位まで同じです』と話した」とありました。運命共同体、あるいは一心同体となるべき相棒と、評価で上下を争っていては話にならない、ということでしょう。
成功のカギは何でしょうか?、という質問には、コミュニケーションを徹底的に取ることが大切で、最初に「目標」を共有することが最も重要だと言います。「目標」に向かっているか、進捗状況はどうか、二人で徹底的に話し合い、全ての情報をお互いに共有し、時には相手に批判的な意見も言い合いながら建設的な議論を重ね「目標達成」をしていきます。
最初はお互いの意見が合わずとも、議論を重ねていくうちに、強固な信頼関係が生まれてくるといいます。
マネジメントシェアリングの効果・成果
「業務量が多く困難なマネジメント業務を二人で割って楽になる」という考え方ではなく「得意分野の違う二人がお互いの意見を出し合うことで、一人では気が付かないハイレベルな知識やノウハウにより、新しい価値(イノベーション)が生まれる」とのことで、マネジメントシェアリングを導入している企業ではその効果・成果を実感しているようです。
又、メンバー側からの評判も良いようで、「4つの目」で判断してくれるから人事考課に公平性が出た。や、一人のマネジャーが不在でも、もう一人のマネジャーが在籍してくれているので、上長の確認が必要な時でも、業務が止まることなく進められる。など、いいことずくめのよう。
3回にわたってご紹介した田中洋子先生の講義内容はいかがでしたか?
ドイツのフレキシブルで先進的な働き方を学び、日本企業でもマネジメントシェアリングを取り入れることが出来たら、ライフタイムイベントの途中でキャリアを諦める人が減り、管理職になりたい人が増え、イキイキと働き続けることが出来るのではないかと感じさせられました。