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高橋克徳 連載コラム「人がつながる組織をつくる」2
~第2回 若手が辞めない職場になっていますか~

高橋 克徳2022.03.22

新入社員はイキイキと働き始めていますか。
若手社員が働くことの楽しさや意義を実感し、周囲の人たちに支えられ、育っていますか。
こんなことを聞かれて、悩ましいと思う方も多いのではないでしょうか。

実際に多くの会社で、新入社員や若手社員が周囲に相談することなくすぐに辞めてしまうという話をよく聞きます。
彼・彼女たちに直接話を聞くと、その原因の大半は最初に配属された職場の上司や先輩との関係にあることがわかります。

「先輩も上司も忙しいのはわかるけど、聞けない、聞いてもらえない状況はつらい」
「何のための仕事かわからなくて目的を聞くと、余計なことは考えるなと言われた」
「言っていることは正しいけど、高圧的に言われると人としてどうなのかと思う」

こんな風に、目の前の上司や先輩に見てもらえない、関わってもらえない、良い関係になれないことに、落胆し、悩んでいく若手社員が多くいます。
さらに、こうした状況が続くと、イキイキしていない上司や先輩を見て、自分もいつか彼らのようになってしまうのではないかと不安を募らせていくというのです。
早く辞めてしまう若手社員に共通しているのは、上司や先輩の姿に自分の未来を重ね、希望が持てなくなったというものでした。
アルバイトをしていた時の方が、店長中心にみんなで一体感を持って働いていて、目の前のお客さんに喜ばれる瞬間があり、それを分かち合う仲間がいた、目の前でイキイキした人たちがいた。
ここで働いても、そんなイキイキした未来の自分がイメージできないというのです。

何を甘いことを言っているんだと思う方もいるかもしれません。
「接客業とは違うし、個々人が自分の役割や作業をすることで組織は成り立っていることを教えなければ」
という方もいるでしょう。
しかし、今までの世代とは大きく違うのは、インターネットを通じて、多くの情報や外部の仲間とつながり、社会的に意味あることをする大切さを学んできた世代です。
一つひとつの仕事に意義を感じ、前向きに取り組んでいる人たちに囲まれているのかどうかが、彼・彼女たちにとってはとても大切なことなのです。
上司や先輩がイキイキする会社をつくることが一番の解決策です。

しかし、その前にできることがあります。
それは一見イキイキしているように見えなくても、思いを持って働いている人がいることを知ってもらうことです。
苦労した経験や小さな思いを語り合あう機会、場をつくってみてください。
それが、若手が辞めない職場をつくる第一歩になります。

※ 本コラムは、日本商工会議所会報2021年5月号への掲載文を加筆・修正したものです。

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