ジェイフィールは、良い感情の連鎖を起こすこと
人と組織の変革を支援するコンサルティング会社です
「組織感情」で見るイキイキした職場づくり【インタビュー】
「組織感情」とは?

ジェイフィール2022.08.25

「組織に感情?」

今回の「#ジェイフィールをもっと知りたい」シリーズでは、「組織感情」を取り上げます。ジェイフィールの皆さんと話していると、たびたび「組織感情」というキーワードが出てきます。

「良い職場は、良い組織感情から。」とのことで、「組織感情とは?」を伺いました。



 

職場全体に広がっているムード・空気感




 -       本日はよろしくお願いします。まず、「組織感情とは?」というところからお聞きしたいです。
 

和田さん
簡単に言うと「組織感情」は職場全体に広がっているムードや空気感のことです。
皆さんの組織でも、元気や活力に溢れている雰囲気を持つ組織もあれば、反対に沈滞していてどんよりとした組織もあるかと思います。そのなんとなく感じる空気感が組織感情です。
ジェイフィールの理念や名前にもある通り「感情」を大切にしている会社なので、「組織感情」はジェイフィールがもっとも大切にしている考えの一つです。
 
阿由葉さん
「組織感情」という言葉が生まれたのが2007年です。
その当時は「職場に感情を持ち込むな。」という考えが主流で、数値目標だけを追っていくことが全てだったので、組織を無機質なものではなく有機的なものとして捉える考えは斬新だったと思います。
 
和田さん
そうですね。当時はモチベーションややる気などの感情言葉はあったんですが、それ以外の感情は仕事をやる上では不要という考えが多かったと思います。
そういうわけで、「やる気を出そう!」と会社は言うんだけど、それに気持ちが付いていけない人がいたのではないでしょうか。
 
阿由葉さん
矛盾していましたよね。「やる気を出す」というのは感情の話なのに、一方で「職場には感情を持ち込むな」という。
 
和田さん
そうですね。それに違和感を感じ、感情はもっといろんなものがある。感情というピースが今の会社や組織で欠けているのではないか。
それを数値で見える化できないか。そんな思いで作ったのが、組織感情診断です。
こちらは組織感情診断で使うもので、「組織感情」を4象限で表した図です。
横軸に「快・不快」、縦に「活性・沈静」で整理していて、一般的に右側の感情が多く、左側の感情が少ない方が良い組織となります。




1つずつ説明すると、右下の「あたたか感情」は、土台となる感情です。支え合い感や認め合い感など、組織が安心、安全な場になっているのかどうかを見るものです。
次に右上の「イキイキ感情」は、快感情×活性なので、動きが出てくるものになります。連帯感とあるように、「みんなで何かをやってみよう!」「自分から主体的に動こう!」というような行動がイメージできるものになります。
反対に移り、今度は不快感情について説明します。左上の「ギスギス感情」は、緊張感や苛立ち感、不信感を表します。例えば、仕事の緊張感や仕事でうまくいかないときの苛立ち感。そして相手を信用できなくなるという不信感を表しています。
左下の「冷え冷え感情」は、将来に対する不安などが影響し、動きが鈍くなってしまっている状態です。なんとなくやる気が起きず、この組織だと自分の力を発揮できないなど諦めの感情も表しています。
 


-       図の赤枠の外はどの象限でも、マイナスな印象の感情になっていますね。


 
和田さん
この赤色の楕円で囲った線を「感情崩壊ライン」と呼んでいます。

「あたたか感情」が行き過ぎると、誰かがやってくれるから大丈夫という「ぬるま湯感情」になります。「イキイキ感情」が行き過ぎると「燃え尽き感情」という、これ以上走れない状態になってしまいます。
「ギスギス感情」のその先は、誰かを排除しようというような極めて攻撃的な感情になります。「冷え冷え感情」がより強まると「ひきこもり感情」になり、何が起きようが黙って全てを見過ごすというような状態になります。

どの感情も行き過ぎは良くないということですね。
 


-       図の下にある「+効力感」というのは?


 
和田さん
「効力感」というのは、一言でいうと「手応え感」ですね。仕事が効率的に行えているかとか、創造的な仕事ができているかとか、自分が成長できているかとか、そういう手応えです。
その中でも一番重要なものに「存在実感」というのがあって、この組織の中に自分がいて良いと思えているかどうかの指標です。仕事の手応え感+組織での存在実感を表しているのが「効力感」です。
 


-       これらをもとに、組織の状態がどこに位置するのかを診断するわけですね。
 


和田さん
はい、おっしゃる通りです。「組織感情診断」は様々な設問をもとに、組織感情を数値化して見える化していきます。
診断結果は7段階に分かれていて、より詳細な数値は診断結果のシートで見ることができます。


 

 


事例で見る「組織感情」


 

 
阿由葉さん
こちらがとある企業のとある部署の診断結果です。まずは組織やチームごとに組織感情レベルを出して、その平均値が企業全体の組織感情レベルになります。
この組織・チームは「要注意職場」なので、感情レベルは4段階目だけど「おかしい!」ということで少し危ない状態であるということが見えてきます。



また、一つの組織・チームだけでなく複数の組織・チームで比較しながら診断結果を見ていくことも出来ます。

例えば、複数の組織・チームの組織感情診断結果を出してみた企業での出来事をご紹介します。
この企業の中で唯一、「不機嫌な職場」となってしまったある組織・チームがありました。
でも、みんなで原因を考えていくと、実はこの組織・チームは、いつも他の組織・チームから無理難題を押し付けられていて、その対処が影響して組織感情が悪くなっていたという事実をみんなで認識したという事例がありました。
このように組織・チーム毎にみんなで組織感情診断を見ると、お互いが与えている影響がわかるんですよね。
「もしかしたら、自分たちがあの組織・チームに悪い影響を与えてしまっているかもしれない。これから気をつけよう。」と考えたり、気付いたりする良い機会になります。


 
-       それぞれの設問に「組織感情」「自分感情」「ギャップ」とありますが、この「ギャップ」というのは?
 
 

阿由葉さん
組織感情診断の特徴のひとつに、「組織感情」と「自分感情」のギャップを見るというのがあります。



例えば「イキイキ感情」の連帯感の中にある「みんなのために、お互いのために頑張ろうという気持ち」で、組織感情は30%に対して、自分感情は60%で、ギャップが30%あったとします。
これは、自分はみんなのために頑張ろうという気持ちを全体の60%の人は持っているけど、周囲はみんなのために頑張ろうという気持ちを持っていると思っている人が30%しかいない状態を表しています。
こうなると、「結局、みんなのために頑張っているのは自分だけじゃないか・・・」という暗黙の雰囲気が組織・チームに生まれてきてしまっている状態を表しているといえます。
自分と周囲の人たちとの感情の分断を見える化できるのが、このギャップです。この数値ギャップが30%以上の場合は「要注意」で赤を入れています。
 


-       これがわかると、「なんだ、みんなもそうやって悩んでいたんだ。」という気づきにもなりますよね。


 
阿由葉さん
そう、安心に繋がりますよね。そうやって気づいて「みんなそう思っているのなら、一緒に協力しあえるかもね。」とやっと足並みを揃えられます。

 

 

阿由葉さん
そこでやっと、お互いの知らなかったことを知るという、「関係性」をつくるステップに進めることになります。実は、多くの会社がこの「関係性」をつくるという段階を飛ばして、業務効率化の問題とか、この仕事をどうしたら良いか話をしようとしてしまっています。まず土台となる関係性ができていないと、仕事についてお互いの本音の意見を言ったり、提案し合うのはなかなか難しいですよね。

遠回りのようですが、きちんと段階を踏むことが大事で、結局それが一番の近道だったりします。
 


-       純粋な疑問ですが、組織にいる方々の中で、悪意を持って「組織感情を悪くしたい!」という人はいないと思うんですよね。なのになぜ、こういう組織感情が良くない職場が生まれてしまうんでしょう?


 
和田さん
人との関係性とか、仕事の関係にも影響があるのではないでしょうか。

人との関係性でいうと、例えばここにいる3人でさえ、それぞれ考え方は違いますよね。そうなると仕事の進め方も違うので、お互いのことをよく知っていなければ、「なんで、あの人はこういうふうに仕事をやらないんだろう。」とか、ただ真面目に仕事に取り組んでいたとしても、「あの人って、まったく周りとコミュニケーションとらないよね」とかそういう誤解が生まれてくるわけです。

その状態で、仕事量が多く忙しすぎたり、成果が出ず業績が悪いままだったりすると、組織感情はどんどん悪化してしまいます。
 
阿由葉さん
今の質問はまさにその通りで、「みんな組織感情を悪くしようとは思っていないはずなのに、なんで?じゃあ、どうしたら良い?」という話ができるのが、この診断シートの良いところでもありますよね。
 
 
 

「組織感情」をみんなの事柄として

 
 

-       組織感情診断で組織の状態がわかって、関係性も徐々に築けてきて...。そこでやっと「さあ、これからどうしていこうか。」となるわけですね。
 


阿由葉さん
このフェーズになって、診断結果を一人ひとりが見て、基本的にはみんなでどうしたら良いかの作戦を立ててもらいます。
 
和田さん
「組織感情」はその組織の一人ひとりが作っているもの、という意識を持ってもらうことが大事なんですよね。マネージャーが良くなれば職場の雰囲気が良くなる、というわけでは必ずしもないので、マネージャーだけに結果をフィードバックするのではなく、皆さんに共有するようにしています。職場づくりを誰かの役割にするのではなく、みんなの事柄として捉えてもらって、みんなで良くしていこうというのが大事ですね。
 


 

組織の健康診断としての「組織感情診断」

 


阿由葉さん
会社によっては、毎年この組織感情診断を実施して、年単位でどのように動いたかを見ているところもあります。

組織感情診断は組織の健康診断に近いですよね。ジェイフィールは皆さんとその診断結果を見て、医師のごとく、その組織にどんな症状がありそうか、すでに症状がありそうな場合はどこに原因がありそうかを一緒に見ていくわけです。
その意味で、先程7段階の組織感情レベルがありましたが、一番気をつけなければいけないのは、「要注意職場」。この職場は、実際に問題があるという自覚症状がない場合が多いんです。医師の診断に例えると、実は病気に近いんだけど、その兆候がでていないから気づかなくて、でも実際はかなり病的な状態に陥ってきているという状態なんですよね。
 
和田さん
本当にそんな感じですね。例えば、ちょっと痛い、例えば胃がキリキリするけどまあこれくらいは大丈夫かと本人は思っていても、実は病気の兆候だったりしますよね。「要注意職場」とはそのようなイメージです。
 

 

「組織感情」において大事なこと

 


-       先日、ジェイフィールから出ていた「【調査リリース】コロナ前後の組織感情の分析結果」を見ました。ここでは、社会の変化が組織感情にも影響を与えていることがわかります。
 
和田さん
リモートワークになったことで、みんなの前で叱責されたりなど、そういった不快なコミュニケーションが減って、組織感情が向上したところもあります。
しかし一方で、不安感や孤立感、引きこもり感情が増えてしまっている傾向にもあります。そういった悩みを一人で抱え込んでしまっている人が増えているのではないかと懸念しています。
 
阿由葉さん
引きこもり感情が増えてしまうと、メンタルの問題に関わってくるので、私もこの傾向は非常に危惧しています。実際、世の中ではこういう問題が増えていますよね。
なので、この気持ちを周囲にシェアできる関係性があるか、引きこもり感情を抱かないたちをどう増やすかは、この先重要になってくると思います。

参考:【調査リリース】コロナ前後の組織感情の分析結果
 


-       今回のコロナのように、思ってもみない社会の変化は今後も起こってきます。その中で「組織感情」において、重要になるポイントは何でしょうか?
 


和田さん
まず、なぜ「組織感情」が大事なのかというのを理解いただくことでしょうか。「組織感情」を良くするとみんなが健康的に働けて、なおかつ成果があがるという。そういう意義付けが大事だと思います。

最初の話にありましたが、やる気だけあれば良いとか、仕組みだけを変えれば良いとかだと、どうしてもこぼれ落ちてしまう人たちが出てきてしまいます。
したがって、働く人が気持ちよくイキイキ働けるような環境づくりが大切だな、と思ってもらうことがスタートですね。
 
阿由葉さん
成果をあげることはとても重要なんですが、成果のあげ方のほうがもっと重要なのではないでしょうか。例えば、みんなが「燃え尽き感情」で仕事していたら、来年はどうなってしまうかわからないですよね。これでは組織としてのサステナビリティ(持続可能性)は低くなってしまいます。一番重要なのは組織として継続して成果をあげ続けられることだと思います。
それができる組織ってどんな組織なんだろうと考えた時に、やはり組織感情の良い組織(チーム)ということになると思います。
ある研修で自組織の組織感情診断結果を見たある若手社員の方が、「ああ、確かにこんな状態では成果なんてあがるわけないですよね・・・」と発言していました。その発言を聞いた周囲のみんながハッとした表情をしていたのは、今でも印象に残っています。
このようにみんなで今の組織の状態と向き合い、お互いに自覚し合うことが組織として良いムード・空気感をつくりだすための第一歩になっていくのだと思います。
 


-       本日はありがとうございました。

 
 
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