イキイキ・ワクワク事例集

「安全と技術が生命線」職人気質の技術者も納得の『組織感情診断』活用法

半導体向け感光材で世界シェアトップ企業が『組織感情診断』を8年間連続採用

ジェイフィール2022.03.23

会社DATA



 

本社所在地 :東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル
創業・設立 :1954年9月(東証JASDAQ上場)
代表者 :木村 有仁
従業員数 :830名(2022年1月現在)
事業内容 :感光材・化成品の開発製造販売、化学品ロジスティック事業
URL :https://www.toyogosei.co.jp/


インタビューイー



東洋合成工業株式会社 執行役員 人材総務部長 水戸 智氏
2011年入社。
約800名の人事、採用、人材開発、労務管理、総務を
わずか13名のスタッフで担う部門長。
事業拡大は続き、毎年約100名の採用をコンスタントに行っている。


全体概要


東洋合成工業は半導体製造に欠かせない感光材で世界シェアトップを誇る日本を代表するグローバルニッチ企業。創業は1954年。

当時は海外から輸入した化学原料の蒸留精製事業と、それをタイムリーにユーザーが求める荷姿で配送する化学品物流事業から始まりました。

今や私達が日々の生活の中で使う、スマートフォンホンを始めとする電子機器で、半導体を使わないモノはないという時代。

技術進化が激しい半導体市場の中で、常に顧客のニーズ、スピードについていける感光材を作ることができるのは、創業以来磨き上げてきた当初から培った高度な技術力と、創業者・技術者達のチャレンジスピリットがあったからこそです。

この10年の間にうちに売上、利益とも倍以上に伸び、株価においては約20倍になっているという急成長企業であるがため、 社員数はここ7~8年程で倍以上に増加しています。

社員数が増えるという事は、様々な経歴や価値観を持つ人材が増えるという事でもあります。

人事部門トップである水戸智氏は『組織感情診断』を最初に実施した2013年当時同時をこう振り返りました。

「今後はトップダウンだけでは立ち行かなくなり、組織内で自分達のビジョンを持ち、考え、行動していくことが必要になっていくだろうという課題を感じて認識を抱いていました。そこで、まずは現在の組織の状態を客観的に映し出すものとして『組織感情診断』を実施してみようと思ったのです」と語ります。

『組織感情診断』を2013年から毎年継続する理由、社内での活用方法、効果について水戸氏へのインタビューを元にご紹介します。




プロジェクト概要




課題


「私が東洋合成に入社した2011年は丁度リーマンショックの直後で、景況感は良くなかったのですが、そんな中で、新工場を作ることが決まっていて、当時300名程度だった社員が倍以上になることも想像がつきました。又、数年後には創業者の先代から現社長にバトンタッチすることも予定されていたので、事業成長と社長交代という2つの大きな出来事が、期待や不安など、社員の感情を揺さぶっていたと思います」と、水戸氏は自身の入社当時の様子を語ってくれました。

事実、2012年5月には千葉県東庄町に洗剤やシャンプー、化粧品などの香料材料を製造する香料工場が竣工され、翌2013年には電子・電材向け高純度溶剤等、機能性化学品の製造などを行う西日本の拠点として淡路工場が竣工されました。

事業拡大の為の新工場竣工、社員の増加、社長交代。
会社が大きく変化するときにそれまでは求心力の強い創業者のトップダウンで進めてきましたが、社員数が増え、そのようなスタイルでは立ち行かなくなることが予想されていました。
「変革期を迎えて組織として持続的に成長していくには、外から言われて変わるのでは続かない。自分達でこうしたい、こうなりたいという現場の意思がないと続かない。と、思っていました。又、そのためには現在の状況を客観的に評価し、受け止め、改善箇所があれば改善していくサイクルを回していかないといけないと思っていました」。(水戸氏)
 
“研究開発が生命線”“品質重視”。同社をグローバルニッチトップ企業へ成長させた根底には、創業者のものづくりに対する考えが全社員に行き渡っています。

又、化学品メーカーとして「安全」や「環境」の責任も重く、生産現場では厳しい管理体制も必須です。
「顧客のニーズに応え、クオリティーを保ちながらも安全に量産をしていき多忙を極める上に、これまで現場を支えてきた社員と、大量に入社する多様な価値観やバックグランドを持つ社員が協力しながら次の成長に向けて新たなチームをつくっていく。そのような環境をつくることができないと当社の更なる成長は実現しないと危機感を抱いていた」と、水戸氏は言いました。




解決策


「前職の時から『組織感情診断』は知っていました。前職で厳しいリストラ業務などを経験した時に、『いい会社って何だろう』と自問自答し続け、やはり“人の感情”、つまり、みんながイキイキと仕事にやり甲斐をもって働けているか、というのが一番重要だと感じていました」。(水戸氏)

そこで同社は2013年から毎年、全社員、全職場を対象に『組織感情診断』を行い、職場の健康状態や課題などを定点観測しています。
また、診断結果は各部門に対してフィードバックを行い、各職場レベルで継続的な職場改善を図っています。
「毎年継続してきたことで、職場感情はいい方向に変わってきていると実感しています。社員一人一人が『イキイキと仕事にやりがいをもって働くには』という事を意識するようになってきましたし、診断結果が低下している職場へは、個別にヒアリングし、問題を抽出し一緒に解決策を見出すようにしています」。

「問題のある職場ではまず課題の整理から入ります。例えば『仕事が忙しくて感情が低下している』という問題に対しては、特に若手社員は多忙の中、何故その仕事をやらなきゃいけないのか、自分が全体のどの部分に携わっているのか理解していないので、仕事にやりがいを持って業務を遂行出来ていないケースが見受けられます。つまり、それを上司がきちんと説明出来ていなかったり、チームで共有出来ていないなどは、結局はコミュニケーション不足が大きな原因と考えられます」。(水戸氏)

「問題、課題のある職場を放置しておけば、やがて職場崩壊が起き、個人や組織の成果は出にくくなり離職者が増えたり、時には社業を揺るがすような重大な事故が起こる可能性もあります。そうならない為にも『組織感情』を定点観測し、問題のある職場へは人事部門もサポートに入り一緒に解決していくことが必要なのだ」と述べています。




組織感情診断とは(診断sample)



『組織感情診断』は全53問。
社員は期限内にインターネット上で自分の感情と自分のいる組織の感情についての質問に回答していきます。
「組織診断のサーベイは星の数ほどあれど、組織の感情に特化したサーベイは他にはない」と水戸氏も太鼓判を押しています。


成功のポイント


「2013年から継続的に『組織感情診断』を実施してきたことで、ようやく経営陣へもその重要性を理解してもらえるようになり、中期経営計画にも「イキイキ組織」を作ることを目標の一つとして掲げてもらえるようになりました」。(水戸氏)
同社はイキイキとした組織づくりに向けた取り組み課題として以下の5つを挙げています。

①メンバーに仕事のやりがいを持たせる
②人材育成を支える仕組みづくりと運用
③生産性の向上
④風通しの良い職場づくり
⑤働きやすい環境づくり

特に②の人材育成に関しては、組織運営と人材育成を見える化する「人材情報システム」を導入し、組織の目標達成と人材育成のPDCAサイクルを回すことに取り組んでいます。


図)組織運営と人材育成を見える化する「人材情報システム」


又、④の風通しの良い職場づくりに関しては社長と若手社員との座談会を定期的に実施したり、チームやプロジェクトメンバーの関係性を高めるためのチームビルディングやコーチングにも取り組んでいます。また、有志のマネージャーが定期的に集まって悩みやナレッジを共有する「マネジメントcafé」なる場をつくり、部門を超えた人材交流を推進しています。

「社員一人ひとりが、縁あって出会った東洋合成で自分の仕事と会社に誇りを持ち、東洋合成に入社してよかったな、と心から思って欲しいし東洋合成で成長してほしいんですよね」と最後に水戸氏は締めくくりました。

自分がその業務を遂行することで、組織の、会社の、そして世間の役に立っているという「効力感」を上げることがイキイキと働くことにつながると言われています。日々の業務に忙殺される中で、そこまで俯瞰的に自分の業務を見れる人も少ないでしょう。
今後、10年で半導体市場は少なくとも2倍になると予想され、東洋合成工業の成長もまだまだ続きそうです。
さらなる事業成長にも定期的な『組織感情診断』を活用し、社員がイキイキと働ける健全な組織運営を図ってもらいたいと考えています。





担当コンサルタント、片岡より




組織の状態を見える化する診断、サーベイは世にあまたありますが、組織感情診断の最大の特徴は、職場での活用しやすさを起点に作成している点だと思います。

具体的には、
・職場の感情状態をテーマにすることで、全社員が自分事で受け止められる
・1枚ものでビジュアル化されたシートで、現場の社員でも一目で職場の状態を理解することができる
・感情を直接的に確認することで変化が見えやすい
というポイントです。

管理者向けの360度サーベイなどと異なり、問題を組織全体のテーマとして捉え、それを分かりやすいアウトプットで共有し、組織員全員で変わっていこうという意思を高め、問題意識の共有を可能にすることが組織感情診断です。

近年、組織開発(OD)に注目が集まっていますが、日本における組織開発の第一人者、中村和彦教授はその本来の意味を、「組織内の当事者が自ら組織を効果的にしていくことや、その支援」と定義しています。

水戸様が、「外から言われた変化は続かない」と指摘されていましたが、まさにそれです。組織感情診断は単に職場を評価する仕組みではなく、一人ひとりの主体性や、組織を変えていきたいという気持ちを育むツールなのです。

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