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AI時代における人と人のつながりの重要性
富士通研究所長 岡本青史氏 × 小森谷 浩志 対談

ジェイフィール2026.03.10

はじめに:10年の時を経て再確認する「対話」の原点


岡本さんにお会いしたのは実に10年ぶりでした。岡本さんは2016年、富士通研究所様でRRT(リフレクションラウンドテーブル®︎)研修を導入した際の第1期生です。当時はまだAIが今ほど一般的ではない時代でしたが、岡本さんは新設されたAI研究組織の責任者に就任されたばかりでした。
あれから10年。富士通研究所様では現在もRRT研修が継続され、受講生は延べ100名を超えています。今回は、富士通研究所所長で、AI研究の第一人者の岡本さんに、RRTでの経験がその後のマネジメントや「人と人とのつながり」にどう影響を与えたのかをお聞きしました。

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コミュニケーションの「質」を変えたペア対話の実践


岡本さん: 久しぶりに10年前の研修を思い出していました。実は受講後、人数が急増した部署でRRTの手法を応用し、幹部同士の「ペア対話」を導入したんです。前週の出来事や自分の悩みをさらけ出し、聞き手はセンサーを立てて相手の悩みの本質を考え、深掘りする質問を投げる。
こうした深いレベルの対話はそれまで経験がありませんでしたが、明らかにコミュニケーションの「質」が上がりました。部下との相互理解も格段に深まり、忙しさに追われて見失いがちだった「対話を通じたつながり」の重要性に気づかされました。



自分の「ブレーキ」を外した、12名の熱い内省セッション


小森谷: RRTは、毎週1回90分を20週かけて行います。日常の実践を内省して深め、対話で共有することで、マネジメントをアップデートしていく場です。最初はぎこちない対話も、継続していく中で、参加者同士が打ち解けて、時として耳が痛いアドバイスも言い合えるくらいに深まっていったことを鮮明に憶えています。

特に印象的だったのは、自分の殻を作っている要因を過去に遡って掘り下げる「自分の中に潜むブレーキ」を探究するセッションでした。当初は数名に実施する予定が、皆さんが「自分もやりたい!」と手を挙げ、結局12名全員分を行いましたね。終了時間を大幅に過ぎての、場の熱量は凄まじいものがありました。

岡本さん: あのセッションは強烈でした。RRTは単なる研修ではなく、全員が悩みをぶっちゃけて語り合うことで強い信頼関係が生まれる「真のコミュニケーションの場」でした。「胸襟を開く」ことでしか、感情のこもった対話は生まれません。私はAIの研究者ですが、「感情」や「魂」があるのは人間だけです。業務効率化はAIが担えても、チームワークの構築には人間の魂が必要不可欠だと確信しています。


「自分の軸」があるからこそ、異分野への越境ができる


小森谷: 先日終了した第11期の受講生からも「自己認識が深まり、自分の軸が確かになった」という感想がありました。岡本さんご自身はいかがですか?
岡本さん: 「軸」の重要性は痛感しています。自分の軸がないと、他者と深い対話はできません。現在、研究所では若手に「越境(他部署の仕事への参画)」を推奨していますが、自分の専門という居心地の良い場所から外に出ることで初めて、自分の「軸」が何であるかが逆説的に見えてくるんです。
富士通研究所は実に多岐にわたる専門性を有したプロフェッショナル集団であり、「人材こそが胆」です。越境や異分野融合を通じて新しい価値を創出し、研究者が周囲から憧れられるような組織文化を育んでいきたいと考えています。


AIには代替できない、五感をフル活用した「人間ならではの判断」


小森谷: グローバルな共同研究やオンライン化が進む今こそ、信頼関係を深める対話と、その基点となる自らの「軸」が、イノベーションの鍵になりそうですね。
岡本さん: その通りです。言葉の真意を伝えるのは、人間同士でも非常に難しい。表情、声色、その場の空気感……人は五感をフル活用して判断しています。AIでも表情やトーンの研究は進んでいますが、自分の経験に基づいた重みのある「判断」は人間にしかできません。
小森谷: AIが必ずしも正しい答えを出してくれるわけではなく、使う側としての人間の能力も問われる時代、人間の感性や、対話を通じて理解し合う重要性が増していきますね。岡本さんのリーダーシップのもと、富士通研究所の最先端技術が社会に深いインパクトを与えていくことを期待しています。
岡本さん: ありがとうございます。ビジネスの最前線で頑張っている仲間たちに勇気を与えられるような存在を目指し、未来のビジネスに貢献できるよう努力し続けます。



ファシリテーターコメント
AI時代に「コミュニティシップ」が必要な理由

――効率の先にある「魂」の共鳴を求めて


今回の対談で岡本常務が強調された「自分の軸」と「感情・魂」の大切さ。これは、RRT(リフレクションラウンドテーブル)の生みの親であるヘンリー・ミンツバーグ教授が提唱する「コミュニティシップ(Communityship)」の思想と通底するものです。
現代の組織において、私たちはとかく「優れた個人の能力」や「効率」ばかりを追い求めがちです。しかし、バラバラな個人を動かすのはコントロールという意味での管理ではなく、お互いを思いやり、共通の目的に向かって自然と協力し合う「コミュニティとしてのつながり」です。

1. 内省が「自分の軸」を研ぎ澄ます

AIは膨大な過去のデータから答えを導き出しますが、あなたの「意志」や「価値観」までは決めてくれません。毎週90分、自らの実践を振り返る(内省する)ことで見えてくるのは、目先のテクニックではない「自分はどうありたいか」という確固たる軸です。この軸があるからこそ、変化の激しい時代でも判断を下せるのです。

2. 対話が「コミュニティ」に命を吹き込む

岡本さんが「胸襟を開く」と言われたように、弱さも含めて自己を開示し、他者の話に深く耳を傾けるプロセスは、AIには代替不可能な領域です。 感情や魂を通わせる対話があって初めて、組織は単なる「機能の集合体」から、熱量を持った「コミュニティ」へと進化します。この関係性の質こそが、イノベーションを生む土壌となるのです。

3. 「人間ならではの判断」を信じる

AIの研究が進む今だからこそ、私たちは「五感をフル活用した感性」や「経験に基づいた直感」をもっと信じて良いのではないでしょうか。 効率化はAIに任せ、人間は人間にしかできない「真のつながり」を築くことに時間を使う。RRTを通じて磨かれるのは、そんな「人間くさいマネジメント」の豊かさです。

「『関与型』マネジメントスタイルを取るマネジャーは、ほかの人たちを関わらせるために、自分が積極的に関わる。その時重要なのは、敬意をもつこと、信頼すること、配慮すること、鼓舞すること、そして言うまでもなく、聞くことだ」 
—— ヘンリー・ミンツバーグ

技術がどれほど進化しても、組織を動かし、未来を創るのは、意志を持った「人」と「人」のつながりです。 あなたが「自分の軸」を再確認し、目の前の仲間と魂を通わせる対話を始めること。そこから、新しい時代のマネジメントが始まります。
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貴社の組織に「コミュニティシップ」の種をまきませんか? RRT(リフレクションラウンドテーブル)の詳細や、導入事例についてのご相談はいつでも承っております。まずは、あなた自身の「内省と対話」の第一歩を一緒に踏み出しましょう。



▶対談者プロフィール
(写真左)
岡本 青史 氏  富士通(株) / 執行役員常務 / 富士通研究所長 / 博士(理学)
1991年に富士通研究所へ入社。機械学習、推論、自然言語処理、知識検索などの人工知能の研究開発に従事。2011年より3年間は富士通にて、ビッグデータ新規事業開拓およびデータサイエンティスト育成業務に従事。人工知能研究センター長、人工知能研究所長、富士通研究所フェローを経て、2023年4月より執行役員EVP、富士通研究所所長。2025年4月より現職。東京医科歯科大学客員教授を兼務。

(写真右)
小森谷 浩史 (株)ジェイフィール / コンサルンタント / 博士(経営学)
株式会社ENSOU代表取締役、神奈川大学経営学部国際経営学科非常勤講師。1988年ニッカウヰスキー入社。営業でトップ業績を達成後、アサヒビールのコンサル会社設立に参画し、育成体制を構築。禅の「十牛図」を軸に、内省と対話を重視した組織開発や人材開発のワークショップを企業・NPO・教育機関などに提供している。

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