ジェイフィール2026.04.08
会社DATA

本社所在地 :〒160-6125 東京都新宿区西新宿8-17-1住友不動産新宿グランドタワー25階
創業・設立 :昭和62年12月16日
代 表 者 :代表取締役 鎌田 正彦
従業員数 :26,316名(うち正社員10,315名、2025年12月末現在、連結)単独:310名
事業内容 :物流事業を中心に、人材派遣、環境、不動産事業を展開する総合物流グループ
組織の特徴 :積極的なM&Aにより、異なる社風や制度を持つ唯一無二の物流メガベンチャー
U R L :https://www.sbs-group.co.jp
インタビューイー
SBSホールディングス株式会社 / 人事部 HR企画戦略課
HR企画戦略課長 Kさん(写真右)※以降(K課長): 課長として部門を統括。自らも本プログラムの受講経験を持ち、受講者の意識変化を肌で感じている。
人財開発チーム プロフェッショナル Sさん(写真左)※以降(Sさん): 5年間にわたり本プロジェクトを実務で支え続けるキーマン。現場感覚を重視し、プログラム事務局責任者として受講者たちの変容を見守り続けてきた。
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全体概要
1987年の創業以来、M&A戦略で圧倒的な成長を遂げてきたSBSグループ。多様なバックグラウンドを持つ企業が一つに集う総合物流企業において、最大の挑戦は「グループシナジー」の最大化でした。
2020年、ジェイフィールとの伴走がスタート。システムや制度の共通化という視点ではなく、「マネジメントOSの共通化」を起点にスタートした5年間の人材開発・組織開発の軌跡。当初は次世代経営層から始まった取り組みは、今や次世代リーダー層や女性管理職層・女性社員層へと広がり、各グループ会社を超えた「夢を応援し合う文化」の種を蒔き続けています。
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「共通化」と「多様化」の並走に挑むSBSホールディングス
M&Aで拡大したグループを、本当の意味で“ひとつ”にしていく方法は存在するのでしょうか?
これは、多くのホールディングスが抱える普遍的な問いです。
「これはおそらく、ホールディングスの永遠のテーマだと思いますが……」
そう語るK課長の隣で、Sさんも静かにうなずきます。
「社風も制度も違う会社に、グループ共通で何かをやる。率直に言って、簡単なことではありません」(K課長)
「“共通研修”と言いながら、どこまでが共通なのか。当初はイメージがつきませんでした」(Sさん)
SBSホールディングスは、M&Aによって拡大してきた企業です。そこには、創業者である鎌田代表の強いカリスマ性と、「文化も制度も、それぞれの会社の良さをそのまま活かす」という強い信念があったのです。
トップの決断力と牽引力。その強力なリーダーシップがあったからこそ、SBSグループは成長し、拡大してきました。それは間違いのない事実です。しかし同時に、ある問いも生まれていました。
「代表のリーダーシップを土台としながら、将来を見据えた経営人材の育成をどのように進めていけばよいのか?」
その存在の大きさが強みであるからこそ、将来の経営を担う人材をより意識的に育てていく必要がありました。市場や株主からも「次の経営を担う人材は育っているのか」と問われる中で、2020年、グループ共通の課題として「次世代経営層育成」が動き出したのです。
事業会社出身で組織開発・人材開発未経験だった二人の挑戦の始まり
現在、HR企画戦略課で舵を取るK課長とSさんは、もともとグループ会社の現場で労務や採用を支えてきた実務のプロでした。そこへ突然、「教育・育成をやってみないか」と声がかかりました。K課長とSさんにとって、これまで経験したことのない、まさに未知の領域でした。
「率直に言って、不安を感じる部分もありました」(Sさん)
「自分たちは教育の専門家ではありませんが、次世代経営層育成という重要なテーマに向き合う機会を任されました」(K課長)
それでも、お二人は挑戦を引き受けました。それは、自分たち自身が“これまでは会社から機会を与えられてきた立場”だったからです。 事業会社に所属していた時代、お二人とも会社や上司からいろいろなチャレンジをさせてもらってきたという自覚と感謝を持っていました。だからこそ、社員の挑戦を後押しする立場を前向きに引き受けることができたのかもしれません。
挑戦①:次世代経営層、次世代リーダー層のコミュニティづくり
2020年に開始した部長層向けの次世代経営層育成の手応えを受け、プログラムは2022年に課長層向けの次世代リーダー層へ広がりました。 その次世代リーダー層の受講者の一人が、当時ホールディングスに異動し、人事を担当していたK課長です。「最初は半信半疑でした」と語るK課長でしたが、対話や自己認知の時間を通じて、自身のリーダー像が大きく揺れ動いたといいます。
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- オーセンティック・リーダーシップ
- 職場における心理的安全性の重要性
- 会社を超えた受講者同士の内省・対話の継続
「俺の背中を見てついてこい、だけがリーダーじゃない」
「みんながこういうものに触れたら、何かのきっかけには絶対なる」
受講者だったK課長にとって、この体験は、のちに組織開発・人材開発を進めるうえでの判断基準になっていきました。実際にK課長以外の多くの次世代経営層、次世代リーダー層の受講者の皆さんも、この研修で変化・成長のきっかけを掴んでいます。
例えば次世代経営層プログラムでは、受講者がグループに所属する3~5年目の若手社員と対話する場がありました。その場を通じて、ある受講者がこう話してくれました。
「自分たちが若手の頃には考えていなかったようなしっかりした考え方を持っている。正直、驚いたし、こんな若手社員がいればグループの未来は明るいと思った。希望が持てた。だから、自分たちはそんな若手社員たちがもっと夢を持ち続けられる会社にしていきたい」
次世代経営層にとって、「私たちは何を目指しているのか」という原点を、もう一度見つめ直す機会になったようでした。
また、次世代経営層プログラムの最後は、現経営層に未来のSBSグループを発表し対話をする場面がありました。ここでも、ある受講者からこんな発言が出ました。
「経営層は自分達よりも視野が広い。自分たちはまだまだ経験も学びも足りない」
「でも、5年後はここにいる一緒にプログラムを受講した仲間たちが主役にならないと」
まさに、次世代経営層が会社を超えた仲間と一緒につながることで、5年後、10年後のSBSグループを支える主役になるという意識が芽生えた瞬間でした。
挑戦②:女性社員同士のつながりづくり
2019年にホールディングスへ異動したSさんは、異動とほぼ同時にジェイフィールと共にプログラムづくりに携わってきました。
「“グループ共通”と言われても、具体的にどこまでを共通とするのか、当初はイメージがつきませんでした」
「制度や文化もそれぞれ異なっており、想像していた以上に共通項を見出すことの難しさを感じていました」
そんな葛藤を抱えながら進んできたSさんでしたが、迷いを打ち消す印象的な出来事があったそうです。それは、次世代経営層・リーダー育成の次の経営課題として立ち上がった、女性活躍推進プログラムの受講者Aさんに起きた変化でした。
このプログラムを受講したAさんは、自身の業務が効率化によって無くなるかもしれないという不安を抱えており、最初は「自分がプログラムに参加していいのか?」と自信なさげに語っていたそうです。しかし受講者Aさんは、確実に変わっていきました。
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- 想像以上の自分に出会うキャリアデザイン
- 自分らしさを発揮できる目標づくり
- 会社や部門を超えて支え合う女性社員同士のつながり
「受講メンバー同士のフィードバックで、気づいていなかった自分らしさを発見できた」
このプログラムの最終回では、「今後、自分らしくイキイキと活躍している姿」を絵で表現するワークを行いました。
Aさんの絵には、「自分自身が地球(日本)を飛び出していく」様子が描かれていました。不安を乗り越え、新たな挑戦に対して前向きになれている――そんな自分を再発見できた瞬間でした。
「自分の強みを活かして、新しい部署でやってみたい」
その後、Aさんは自ら部署の異動を申し出るなど行動にも変化があらわれたのです。
また、女性管理職のBさんはプログラムを通じて、女性社員同士が悩みを共有・共感し合うことの重要性を実感し、プログラム終了後は自社で独自の女性社員同士のコミュニティを立ち上げ、今も活動を継続しています。
そんな姿を見てSさんは、こう語ってくれました。
「受講者の成長や変化を通して、私自身も多くのことを学ばせてもらっています」
「共通のものをつくることだけがホールディングス人事の役割ではない」
とSさんの表情は、そんな確信めいたものを物語っているようでした。
更なる挑戦に向けて:グループ各社がつながる起点を広げる
次世代経営層・次世代リーダー層・女性活躍推進と3つのプログラムを進めてきた中で、K課長は「制度やシステムを揃えること自体は重要ですが、それだけでは十分ではありません」と話します。
制度やシステムがうまく機能するためにも、必要なのは、立場や会社を越えて考えられるマインドや、違いをリスペクトし合える土壌です。それがなければ、グループ間のシナジーは生まれません。会社間の壁は、制度やシステムを揃えるだけでは超えられないのです。
それぞれのプログラムの成果が少しずつ見え始めたとき、お二人は思いました。
「次世代経営層・次世代リーダー層・女性社員だけではなく、もっとグループ全体に、若手層にも届けたい」
現在、グループ全体で約2万3千人のSBSグループです。その中で、1回のプログラムに参加できるのは選ばれたわずか数十人に限られるため、プログラムを届けられるのは、年間でも最大で100人弱となります。
「この規模では十分とは言えない」(K課長)
「でも、少しずつでも広げるしかない」(Sさん)
お二人はそうした葛藤と手応えの中で、次年度、様々なグループ内調整を経て若手層にもプログラムを届ける決断をしました。それは戦略というより、プログラムを通じて起こる変化の実感と、これまで自分たちも挑戦させてもらってきた当事者だからこその選択だったのかもしれません。
未来に向けて:ホールディングス人事として「静かなる分断」と向き合い続ける
近頃、人事部が研修を企画し各部門に参加者を募っても、「業務が忙しく、研修どころではない」「繁忙期と重なっている」「代替要員がいない」「残業が増える」など、様々な理由で前向きになってくれないという声をよく耳にします。しかし、K課長は「SBSグループでは、そうした抵抗を感じることはありません」と語ります。
「SBSは人を大事にする会社」
これは、プログラムの受講者の皆さんが口を揃えて言う共通言語です。きっと、根底にある「人を大事にする」という文化が、人の変化・成長のきっかけとなる場を否定しないという行動につながっているのでしょう。
ただし、マネジメント、グループ間・部門間・上下間・世代間・男女間などのコミュニケーション、コンプライアンスやハラスメント・・・
目には見えないですが、グループ内には「静かなる分断」の種が密かに広がり始めています。まだ解決していくべき課題が解決されたわけではないですし、プログラムがうまくいったからといって、すぐに効率化や売上・利益という目に見える成果につながるわけでもありません。グループの風土として否定はされなくても、プログラムを繰り返し続けながら広げていくことは、ホールディングスの人事の立場として難しい調整が起きるはずです。
しかし、K課長、Sさんはこう語ります。
「短期的な視点では、プログラム参加にあたり現場との調整が必要になる場面もあります。ただ、プログラムを経て学んだ一人が自社に戻ってきて、チームの空気が変わる。それは、数値には表れにくいものの、中長期的には確実な価値につながると考えています」
Sさんは、オフィスで受講生からかけられた「今、仲間同士で次はいつ集まろうか話しているんだ」という一言が嬉しかったと語ります。人を起点として分断を越えていく。その先に、真のグループシナジーが生まれる予感がしています。
ジェイフィールより
SBSホールディングス様との取り組みは、「共通化」と「多様化」という一見相反するテーマの中で、ホールディングス人事がどのように意思決定しながら組織風土を創っていくのかを、私たち自身も学ばせていただく貴重な時間でした。
グループ全体を共通化するために制度を揃えることは、比較的わかりやすい解決策でありますが、K課長Sさんのお二人が進めてきたのは、制度やシステムから入るのではなく、多様な事業会社から参加する受講者同士の対話を起点とした「共通言語の創造」でした。
違いに触れ、共感や違和感を抱き、自己認知や他者認知を広げていく。その地道なプロセスこそが、一社固有の文化に依存しない、グループ横断の土台となっていきます。
振返れば、私たちが共に設計してきたのは、単なる研修プログラムではありませんでした。立場や会社を越えて問いを共有し、「違いを尊重しながら考え続ける関係性」をつくる挑戦だったのだと思います。
M&Aで拡大したグループにおいて、シナジーは、制度やシステムだけでは創れません。共通の正解を探すのではなく、共通の問いを持てる状態をつくることが重要なのです。
SBSホールディングス様の挑戦は、私たちにも多くの気づきを与えてくれました。そしてこの挑戦は、同じ悩みを抱えるホールディングス人事の皆さまや多くの事業部門を抱える人事の皆様にとって、大きなヒントとなるはずです。
私たちはこれからも伴走者として、SBSグループの掲げるスローガン「For Your Dreams.」を共に追い求めていきます。
Sさん(左)、担当コンサルタント阿由葉(中央)、K課長(右)
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貴社においてもグループ会社や事業部門を横断した課題はございませんか?
SBSホールディングス様のように「次世代経営層コミュニティづくり」、「女性社員コミュニティづくり」など、会社や部門の壁を越えた対話によってつながりをつくり出すことから始めてみても良いかもしれません。
「どこから手を付けようか悩んでいる」
「現在、取り組んでいる研修やプロジェクトを見直したい」
といったお困りやお悩みがございましたら我々にお気軽にお声がけください。
