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「人と組織の生き方を問い直そう」高橋克徳 連載コラム2
~組織原理を問い直す~

高橋 克徳2023.09.28

わたしたちは、どんなパラダイムのもと、働いてきたのか


今、これを読んでおられる方の多くは、1980年代の後半以降から社会人になった人ばかりだと思います。わたしたちはこれまでどんな社会人生活を送ってきたのでしょうか。


1994年にはバブル経済が終焉し、そこから企業パラダイムは大きく変化しました。

それまでの企業体は、目的合理的な機能体としての側面と、関係性そのものが重視される共同体としての側面の二つが共存していました。ドイツの社会学者であるテンニースが定義したゲゼルシャフト(機能体組織)とゲマインシャフト(共同体組織)という概念です。一般的には、企業には目的があり、その目的達成のために機能的に協働する存在、すなわち機能的組織体であると考えられてきました。


ところがバブル期までの日本は、企業は機能体組織でもあり、共同体組織でもありました。組織として、成長と存続を目的としながらも、血縁関係、家族のような関わり方を土台に据えてきました。社員旅行があり、職場の中でも先輩後輩がいて、そこには教え、教わる関係が生まれ、何かあると一緒に助け合うことが何よりも重視される、ともに生きる共同体としての組織原理がありました。


ただこれが、バブル経済の崩壊とともに、日本企業の欠点、問題点として指摘され、企業における共同体的な側面を排除していきました。こうした共同体的側面が強すぎると、事業の再編ができない。人やグループ会社との関係を変えることができない。そこで、企業は本来あるべき機能体として再編すべきだというパラダイムが土台になり、その後30年間の企業パラダイムがつくられてきたのです。


企業の目的は、利益を上げること。株主価値を最大化すること。そのために企業は最大の成果を生み出すために、最高効率の組織をつくりだすこと。そこで働く人たちは自分の役割を明確にし、そこで生産性(≒効率性)を最大化すること。こうした働き方、組織のあり方を追求することで、組織成果を達成しよう。


わたしたちは、こんな前提の中で、組織で働き、企業というシステムをつくってきたのではないでしょうか。


機能体パラダイムは、人と組織にどんな影響をもたらしたのか


こうした共同体的な要素を排除し、機能体としての組織体を追求することで、人の働き方、生き方も大きく影響を受けたのではないでしょうか。

会社が期待する役割を担い、期待する成果を出せば、給与も上がり、雇用も維持される。期待通りに行動することが、自分を守ることにもなる。人も目的合理的に考え、行動するようになっていったのではないでしょうか。

共同体原理が土台にある人は、それでも周囲の人たちのために、その先にある人たちのために行動を起こしてきました。でも、実際にそれを求めていないような人が増えていくと、自分も周囲のためより、自分の目の前の与えられた仕事のために行動するようになっていく。

気づくと、多くの人たちが目の前の仕事に追われ、そこに自分の思いも見えず、ただこなしていくことを、「働く」ことだと割り切ってしまった。

機能体組織の中で、割り切って働くという生き方。でもそこにどこか寂しさや孤立感を強める人たち。気づくと、関係が希薄な不機嫌な職場になっていく。


でもこれも、何らかの指標を決めて、改善し、組織の活性度を高める役割を管理職に与える。土台となる共同体原理を再生することなく、目的合理的に活性化への取り組みを強いていく。これで、本当に人の主体性も組織の関係性も生まれるのでしょうか。


人も組織も生き方が問われている


この30年間の企業社会の課題を一つあげるとしたら、それは「生き方の喪失」なのではないかと思います。


おそらくバブル経済までの会社で働いていた人たちは、会社という場を通じて、「自分の人生を生きてきた」という実感が持てたのではないかと思います。周囲との関りの中で、難しいこと、つらいこともあっても、それを助けてくれる仲間がいて、ともに何かを成し遂げる喜びを分かち合えた。会社の成長が、自分の喜びとして返ってきた。会社とともに、自分も成長していく実感が持てた。こんな人が多かったように思います。


でも今、会社が本当はどこに向かっていくのかが見えなくなり、そのために何をしていくのか、何を大事にしているのかがわからないまま、目的合理的に成果をだすための仕組や取り組みだけが導入されていく。それもやらなければならないことなので、その意味や意図が理解できていないままでも、こなし続けていく。そこには、自分の意思で、自分の思いで、主体的に取り組む自分の姿が見えてこない。


働く人も、企業も、自分の主体的な意思で考え、行動し、各々が本当に大事にしたいことを重ね合わせ、重なる目的を共有しながら、一緒に未来を切り拓いていく。少なくとも、こんな主体性と関係性が土台になければ、人も組織もともに自分らしい生き方を見出し、追求することができないのではないでしょうか。


機能体、共同体を越える新たな組織原理をつくる


こうした企業中心の目的合理的な機能体パラダイムによって、感情や関係、生き方が失われながらここまでやってきた人も組織も、このコロナ禍での働き方や関係の変化によって、本当のそれでよいのか、本当はどうしたいのかと問われています。


会社や仕事と少し離れる働き方をしてみて、何のために働くのか、なぜこの会社で働くのかを客観的に見つめ直す機会になっている。中には、会社中心の生き方を変え、働く場所を変え、仕事の仕方を大きく変えようとする人も出てきています。


これまでただ、今の状況を受け入れてきた人たちが、そこに疑問を感じ、自分にとっての意味を問い直し、自分らしい生き方を見出そうと動き始めている。

その結果、会社との関係をもっと割り切って考える人も出てくる。目の前の仕事をやってお金をもらうことが仕事であり、そうした仕事を安定的に供給してくれる会社に所属し続けたいという人も増えていくでしょう。


働く人たちが、働くことをより目的合理的に考え、自分にとっての最適を追求することが自分を幸せにするのか、自分の思いと周囲との関係性を大事にしながら、働く場にもともに生きる喜びを追求するのか。

同じように企業も、こうして仕事は仕事と割り切って、上手く働けるように、目的合理的な組織の仕組をさらに進化させるのか、逆に多様化する人たちがともに働く新しい共同体原理を組織の中につくろうとするのか。


正直どちらも大切なのだと思います。でもこのままでは二つは相反するものになる。そこに新たな組織原理が必要になる。思いや感情がめぐりながらも、それが重なり、目的合理的な活動が生まれてくる。わたしはそのヒントは、自然の中にある生物と大地との循環メカニズムの中にあると思っています。この話は、長くなるので別途しますが、自然論的組織観、自然体組織というものがあると思っています。それは人の生き方にもつながっていく。私はそう思っています。


おそらく、人も組織も迷う人が多くいるのではないでしょうか。

バブル経済の崩壊のとき、企業は機能体的な価値観を受け入れざるを得なかった。でも、実際に心の中では共同体的意識が根幹にある。そこが人の心と組織の実態との間に壁を生んでしまった。そんな間違えだけは起こさないように、今、人と組織がともにどのような生き方を見出すのかを一緒に考えるべきときなのだと思います。


あらためて、働くこと、仕事の意味、組織のあり方を、あなたの会社で、あなたの職場で、問い直してみませんか。



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