ジェイフィールは、良い感情の連鎖を起こすこと
人と組織の変革を支援するコンサルティング会社です
部内総勢60名で取り組んだ『組織風土改革』 部の雰囲気が変われば業績も変わる?!
~組織風土改革と売上増の両方を成し遂げた「関係革新」「仕事革新」「未来革新」とは~

ジェイフィール2023.11.15

会社DATA


本社所在地 :東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント
創業・設立 :1969年10月25日
代表取締役社長:當麻 隆昭
従業員数 :15,328名(2023年3月31日現在 連結)
事業内容 :BPO 、ITハード・ソフト販売、ITマネジメント、ITインフラ構築、コンサルティング、システム開発、検証サービス
URL :https://www.scsk.jp

インタビューイー

SCSK株式会社 / 金融事業グループ 金融システム第五事業本部 証券システム第一部
部長:芝野明生さん 副部長:武藤賢さん 課長:角田祐一さん 課長補佐:清田和美さん
赤司久美子さん(バディ)、神高由香さん(バディ)、金山典嗣さん(バディ)、笹田達雄さん、
大塚真由美さん、藪田優奈さん、望月大暉さん
事務局高橋一仁さん、坂田真梨子さん


インタビュアー

渡辺朋子 / interview & writing
※今回はジェイフィールの広報をお手伝いいただいている外部スタッフの渡辺さんにインタビューしてもらい、外部の目線でレポートしてもらいました。
 

全体概要

2020年9月から約3年間にわたり、総勢60名の部員全員で取り組んできたSCSK株式会社 金融事業グループ 金融システム第五事業本部 証券システム第一部(以下、証券一部と表記)の「組織風土改革」。その背景には長年同じお客様を担当し続けているが故の「慣れ」や、多くの日本企業が抱えているメンバーの高齢化などの課題がありました。部内は3つの課に分かれ、その下にチームが存在、また、チームを横断してのプロジェクトが常に多数あるなど、複雑な組織体制と超多忙なスケジュールがメンバー同士のコミュニケーションを希薄にし、同僚に対する「無関心」や表層上には表れない「ギスギス感」も生まれていたようです。

2020年春、組織全体の閉塞的な雰囲気に危機感を持っていた証券一部の高橋氏は、部長である芝野氏に抜本的な「組織風土の改革」を提案します。高橋氏自身が直前まで参加した半年間に亘る社内のワークショップ研修で「内省と対話」をベースとした「感情の交流」が、人と人との「関係性」に大きく影響することを体験し、これこそが今の証券一部の組織形成に必要なことだと実感したからです。そうして始まった「組織風土改革」の一大プログラムは、最初「課長・課長補佐、チームリーダー・メンバー」の二層でスタート。部全体を巻き込んで展開する中、新たに見えてきた様々な課題を乗り越えるべく、2年目は「チームリーダー層を中心としたチームづくり」のプログラムを展開、さらに3年目は「一人ひとりの成長促進」をテーマに活動するなど、試行錯誤しながら取り組みを発展・継続させてきました。結果として、どの階層・職種のメンバーでも「組織が変わった」「組織が良くなった」「働きやすくなった」と実感し、「感情面」の向上があったことに加え、売上増、残業減という「業績面」の向上もあったようです。

丸3年に渡り取組んできた「組織風土改革」の変化と実感を、今回のプロジェクトオーナーである証券一部の部長、副部長、事務局と、実際に組織風土改革のプログラムに参加した課長・課長補佐、チームリーダー、メンバーの方々それぞれにインタビューいたしました。SCSK株式会社がジェイフィールとともに行った組織風土改革における「関係革新」「仕事革新」「未来革新」の秘訣を解き明かします。




課題


証券一部長 芝野氏が感じた課題
2019年4月、現在の証券一部部長の芝野氏がこの部の部長として着任した際、部の雰囲気に危機感を覚えたと振り返ります。約20年間同じお客様を担当しているが故に、メンバー同士が特に会話をしなくても仕事は進み、前例踏襲が当たり前で新しいことが生まれない環境であったそうです。そうしてメンバー同士の会話や笑顔が見られない職場に危機感をもちながら1年が経過した頃、メンバーの一人である高橋氏(今回の「組織風土改革」の事務局担当)から抜本的な「組織風土改革」を実施する提案を受けます。高橋氏が参加した半年間に亘る社内のワークショップ研修で「感情の交流」が人と人との関係性に大きく関わる事を実感したと話すのを聞き、「チームとして仕事をうまく回していくにはどうしたらいいか」という以前からの悩みに対して、「感情の交流」こそが自部署に必要なものだと感じられたそうです。

「高橋さんがあまりにも楽しそうに研修内容を語るのが印象的でした。あまりに熱く語り、企画案も作ってきたので私も今の自部署に必要なプログラムだと思い、メンバーには時間的な負担をかけるかもしれませんがこのプログラムにかけてみようと思いました。」(芝野さん)

部長:芝野明生さん

「また、私は常々、メンバー各々に違いはあれど、全員が活躍できる環境を作りたいという希望をもっていまして、その時に『誰も取り残さない』ことが大切だとも考えています。だからこそ、所属するチーム、担当する業務や役割が全く異なる部の仲間同士が、緩い一体感をもって取り組める、そんなプログラムにできないかなという期待を持ちました。新人研修を共に過ごした同期が、あの時は辛かったけど成長してて楽しかったよねと思い出を語るような、あの緩い仲間感、リラックスした会話をメンバー全員の共通体験として作り出すことも、このプログラムに盛り込んでほしいと伝えました。」(芝野さん)

60名在籍する部員全員にプログラムを実施する規模感に、当初事務局側もプレッシャーを感じていたと言います。
「芝野部長の掲げる『全員参加・誰も取り残さない』プログラムというのは事務局側からするとかなりプレッシャーではありましたが、結果的には『全員参加』がよかったと思っています。以前は、実際に仕事をして関わるのは5~6人で、他のチームが何をしているのか知ろうともしない人が多かったように思えます。そうなるとチームを超えて仕事をしなければならない状況の時に心理的なハードルは高く、チーム横断の仕事はうまく回っていなかったようにも思えます。」(坂田さん)


事務局:坂田真梨子さん

バディ(サブリーダー:チームリーダーの相談役)が感じた課題
プロジェクトが始まる前の課題感、部の雰囲気をバディ(サブリーダー:チームリーダーの相談役)の方々は以下のように感じていたようです。
「うちの部は真面目なのかお人好しなのか、仕事を抱えちゃう人が多かったように思います。頼まれると嫌と言えないのと、あとは他の人がどんな仕事をどれだけ受け持っているかも分からないので、自分がやらなきゃいけないのかな・・って思ったり。でも、何でも受け入れる状態ってそれが残業や休日出勤につながったり、そしてそれが重なると、やはり人間なんで『嫌だな・・』って思う感情が表に出て来ちゃったりしてましたね。」(金山さん)

「そうですね。以前は特定の人に仕事が偏っていたように思います。比較的仕事量に余裕がある人も『自分なんかがでしゃばっても・・』と、遠慮していた部分もありますし、そもそも同僚が今までどんな仕事をしてきたのか知らないので人それぞれの得手不得手も分からずでした。部内で色々な人と話が出来る様になって、後から聞いてみると本当は苦手な事を心では泣きながら請け負ったりしてる人もいたようですね。」(神高さん)

「以前は部や課の『ビジョン』がなかったので、ひたすら案件をこなしてる『チーム』という印象が強かったようにも思います。黙々と目の前の仕事をこなす。課は単に属しているところで、課としてのまとまりや役割を考えたことも感じたこともなかったですし、仕事は個人の資質によるものが大きかったようにも思います。」(赤司さん)

それぞれの課の中にチームがあり、そのチームリーダーを支えるバディだからこそ、組織内でのコミュニケーション不足から生じる様々な不穏感やギスギス感を客観的に感じ取っていたようです。3年間の「組織風土改革」プログラムを実施し、「人となりを知るだけで、人と話すだけでこんなにも組織の雰囲気が変わり、働き方が変わり、働くモチベーションが変わるのかと驚きました。今後、『あの3年間はいい3年間だったねぇ~。また元に戻っちゃったね・・』とならないようにこのままの関係性を続けたいです!」と3人で笑いながらインタビューを終えたのが印象的でした。


(左)バディ:赤司久美子さん、(右)バディ:金山典嗣さん
 

(左)バディ:神高由香さん
 

仮説と解決策


図1の「簡易年表」をご覧いただくと分かる通り、2020年9月「課長・課長補佐」がPhase1の「心理的安全性」「マネハプ対話※」をスタートさせてから順次、チームリーダー、メンバーに順を追って展開。その後、実践する中で見えてきた課題と向き合いながら試行錯誤を繰り返し、Phase3「(自律的キャリア開発)個の成長」まで3年間にわたり「組織風土改革」プログラムは実施されました。
特にPhase1の部分は2021年の1年目に全ての階層で「感情の交流」や「内省と対話」をテーマにしたプログラムを軸に、「関係革新」、「仕事革新」、「未来革新」という3ステップで行われました。
「関係革新」では、マネジメントやメンバー同士が、もっとフランクに、思いや考え、悩みなどを共有し合える関係を築くことを目指します。続く「仕事革新」では、組織の課題を洗い出し、改善点を考えていただきます。「関係革新」で築いた良好な関係性が土台にあることで、本音で話をしやすくなり、より密に組織の課題改善に向けて取り組むことができます。こうして、組織内の雰囲気や仕事との向き合い方がどんどん変化する中で、10年後の未来に向けた組織づくりを考え、実践していく「未来革新」へと進んでいく流れです。

プログラムは3年間に及びましたが、成果は1年目から実感したと芝野部長は言います。
「1年目で全員変わりましたね。拒否反応を示した人やネガティブな人も変わりました。『対話って必要?!』と思っていた人も必要だと思うようになったのか、いい意味での雑談も増えましたし笑顔も増えました。仕事の会話も『目的志向』になっていったと思います。我々は『正しく動くシステムをどう作り上げるか』がミッションなので、どうしても過去の成功事例をそのまま踏襲しがちです。つまり、『これまでこうやっていたから、リスクを伴うことはやらない』など自ら制限を設けてしまうのです。一方で、ネット証券の台頭や最近で言えばNISAやiDeCoなど個人投資の増加など、世間やお客様はどんどん変化しているわけで、我々のお客様である証券会社もサービスやシステムがどんどん変化しています。そんな変化に対応するには今までと同じでは全然追いつけず、誰も正解を持っていないからこそ、『対話』をしながらの事業目的に沿った行動が大切になってきます。そうした『目的志向』が1年で随分と身に着いたのではないかと感じました。」(芝野さん)

又、2022年4月から副部長として着任し、部のビジョンづくりに貢献した武藤さんはビジョン設定が部員の意識改革に大きな影響を及ぼしたと言います。
「1年目の2021年に課のビジョン、2年目の2022年に部のビジョンをつくったのが大きかったと思います。課のビジョンは課長の思いを全面に出してもらったビジョンで、部のビジョンは会社の方向性、社会との関係性まで落とし込んだビジョンを作りました。証券一部の歴史を振り返り、『自分達の存在意義とは?』から問い直しました。結果的に自分たちの事業範囲とSCSKグループの経営理念がリンクしたビジョンとなり、部のメンバーとも腹落ちするまで何度も『対話』したことからメンバーとの関係性も良くなったと思います。賛成、反対、本当に色々な意見が出たのは、前段で『関係革新』をやり、コミュニケーションが取りやすい雰囲気だったからだと思います。いきなりビジョンの話をしても、以前の部の雰囲気だったら受け入れてもらえなかったと思いますね。」(武藤さん)
 

副部長:武藤賢さん

メンバーの方々の実感
この3年間のプログラムの中で特に印象に残り、組織形成に影響したのは「自分史共有・マネハプ対話」だったと日々の業務を支えるメンバーの方々は一同に口をそろえて語ってくれました。

「今も昔も馬車馬のように働く忙しさは変わってないけど効率が上がっていると感じます。残業が減っているのに売上が上がっているので、かなり効率はよくなっているのではないでしょうか。あとは役割分担が出来る様になったとも思います。これはマネハプをやってコミュニケーションが増えたので、一人に仕事が集中することがなく、リーダーもうまく仕事を割り振れているのだと思います。」(大塚さん)
「私は組織風土改革がきっかけで課会でざっくばらんに話せるようになりました。それは普段からメンバー同士でも話せる機会が増えたお陰だと思います。また、人の発言を聞くときも、その人が言っていることの意図がより深く分かるようになったと思います。これまであまり知る機会がなかった、小学校からの生い立ち、兄弟構成、将来なりたかったことなど、『自分史共有』を通じてその人の価値観・信念など『認知フレーム=固定観念』を認知することで、その方の発言の背景をより理解し、より納得感が増します。」(藪田さん)
「チームリーダーがうまく段取りして、人の個性(得手不得手)を見てうまく割り振っていると思います。逆に自分に仕事を振って来ないので寂しさを感じることもありますけどね。(笑)でも、今は後任を育てるという意味で、みんなにやってもらって質問があったら答えるというスタンスです。生産性は確実に上がってきていると感じますね。」(笹田さん)
 

(左)メンバー:笹田達雄さん、(右)メンバー:大塚真由美さん


(左)メンバー:藪田優奈さん、(右)メンバー:望月大暉さん

Phase1の「マネハプ対話」の初回に、人生の様々な出来事の中でその時自分がどう感じ、どう対応したかを思い出しながらメンバー同士で話し合う機会である「自分史共有」があり、これで自らをさらけ出すことが仲間からの共感を生み、今まで出来なかった深いコミュニケーションが出来ることをメンバーの皆さんは実感したようです。又、Phase3の自律的キャリア開発ワークショップが未来の話だけでなく、今の仕事にどう向き合うかのスタンスを考え直させてくれたとのお話も頂きました。「自分に年齢の近い人や、逆に年上の方のキャリアへの考え方などを聞く機会があって、人の話を聞く事によって自分がやりたいことへの思いがぼんやりと見えてきた気がします。やはり人と対話をすることで自分の意志や意見がはっきりしてきたのが大きいと思います。」(望月さん)「いいですね~。私が望月さんの年代だったときは『キャリア自律』なんて言葉もなかったですし、自分がどうなりたい、何やりたいと考えたことはなかったですよ。こうやって望月さんや若い方の今後なりたい姿、キャリアを聞く事はとても刺激になりました。以前は、定年退職までのカウントダウンだけを考えていましたが、せっかくここまで仕事してきたので自分の存在意義、自分以外の人にしてあげられることを充実させて爪痕を残したいと思うようになりました。若い方は好奇心旺盛でやる気があるので、何かしてあげたいと思うようになりました。」(笹田さん)
20代の望月さんも50代の笹田さんもメンバー同士のコミュニケーションが深まったことで、今の仕事への向き合い方も変わってきたといいます。
心理的安全性が高まり職場で何でも言い合える環境であるが故に、未来を見据えた今の動きが出来る様になっているようです。


成功のポイント


全ての階層で「組織は変わった」と実感できるほどメンバー同士のコミュニケーション、メンバー個人の仕事への関わり方が変わった今回の「組織風土改革」ですが、その背景には「メンバー全員、誰も取り残さない」という固い決意と、プログラムを進めながら状況に応じて変化対応していく柔軟さ、などいくつかの要因があったと部長の芝野さんは振り返ります。「自分の経験が浅かったころは、「仕事の出来ないヤツは悪だ」くらいに思ってとっつきにくい嫌な奴だったと思います(笑)でも年次を重ねてきて色々な人と仕事をしていくうちに、以前はすごいパフォーマンスだった人が急に少しパフォーマンスが落ちるのを見たりして、なぜそうなったのかな?と、原因を聞いてみると、介護でプライベートが大変だと伺ったり・・。つまり、人が30年なり40年なり長く働く中で色々なライフパフォーマンスがあって、ある断面で取りこぼすのはもったいない、と思うようになったんです。だから、今、どんな状況の人も、その人が出来る範囲で最大限のパフォーマンスを発揮できる組織にしなければならない。その為には同僚とのコミュニケーションが本当に重要なんです。」(芝野さん)

そうした自身の体験があったからこそ、「全員参加」のプログラムを部長の強い意志もあって実現できたようです。まずはお互いの理解を深め、関係性を築くことを1年目で重点的に行い、関係性の土台をつくった上で2年目はチームづくりに力を入れていきました。ここでチームをつくる際、課長には課長補佐がいたように、チームリーダーにはバディという相談相手を明確に設けることで、チームづくりの実効性が高まったと事務局の高橋さんは感じたようです。
「チームリーダーはある程度業務の仕切りが出来たり、お客様とも対峙するので安定感のある人が多いのですが、チームリーダーに選ばれたけど、チームビルディングってどうするの?と思っている人が多いのも事実でした。仕事を進める上での最小でありながらも重要な単位はチームですので、チームビルディングは重要な業務になってきます。チームリーダーが孤独になってしまってはチームが回らないので、孤独さを理解し、チームを時には客観視し、リーダーの相談相手になるような存在が必要ということで「バディ」を付けました。バディはリーダー自らが選んだので、相談しやすい気ごころの知れたメンバーがなっているようです。」(高橋さん)


事務局:高橋一仁さん

又、課長は課長補佐が付けられたことによって、課のマネジメントスタイルに個性が出たと言います。当事者では気が付かない事が補佐役と対話することで気が付くことが出来たからです。横に寄り添う信頼できるパートナーが出来たことで、課長、チームリーダーの視野は格段に広がったと言います。さらに、チームづくりと同時に力を注いだのが「ビジョンの作成」でした。もちろんどの会社にも「ビジョン」はありますが、(SCSKグループの経営理念は「夢ある未来を、共に創る」ビジョンは「2030年 共創ITカンパニー」)なかなか自分事化出来ないのが実情です。そこで、課長・課長補佐を中心に課のビジョン、武藤氏を中心に部のビジョンを皆でつくりあげることによって「未来志向」のポジティブな会話や行動が増えてきたと武藤さんは振り返ります。

「私が着任前に作られた課のビジョンは、課長の思いが前面に出ていることもあり、あまりにもインサイドのビジョンだったので、もっと社会とのつながりを感じるような大きなビジョンを持ってほしくて部のビジョンを作っていきました。」そうした部のビジョンも最初は売上目標のようなものになってしまい、全く共感してもらえなかったと言います。「売上はもちろん大事なのですが、何の為の事業なのか、会社の方向性、社会との関係性まで落とし込んだビジョンを作りました。証券一部の歴史を振り返り、『自分達の存在意義とは?』まで問い進めました。例えば、証券資産を保有することで将来に安心感を持ち幸せな人生を送ることが出来る人がいるならば、そのシステムを支えている自分達は誰かの幸せの為、究極は人類のイノベーションに役立っているのではないか?という結論にまで至りました。そこから改めて自分たちの事業範囲とSCSKグループの経営理念とリンクしたビジョンを作り上げたのです。」(武藤さん)

課長が実感した成功の要因
当初の売上目標のビジョンだけでは拒否反応を起こすメンバーも多かったようですが、議論を深める事で、「売上を上げるのはお客様が期待してくれているから発注してくれる」、「売上を上げるのはお客様の期待値が高まっているので悪い事ではない」と、思えるようになっていったようです。ビジョン設定の重要性を課長の角田さんと課長補佐の清田さんは次のように語ってくれました。「今まではビジョンに触れることが日常業務の中でなかったですし、正直SCSKのビジョンは遠くて今の自分の仕事に落とし込むことが難しかったです。しかし、課のビジョンまで落とし込むことで自分事化出来る様になり、自分が活動する指針、拠り所とすることが出来るようになったと思います。それに、変化は緩やかですが『未来を考える』ウエイトが大きく変わりました。部長、課長以外のメンバー層まで、今だけでなく未来どうしていこうかな・・と考えるメンバーが増えたように思えます。それはビジョンという共通の拠り所があるのが大きな要因だと思っています。」(角田さん)

「確かに、これまでは今しか見えていない人が多かったように思いますね。ビジョンができたことで、今だけではなく、将来的にどうしたい、そのために自分は今これをしなければならない、と時系列で建設的に考えるメンバーが多くなったように感じます。又、キャリアプランに関してもメンバーとは『何年後に自分がどうなっていたい』をベースにゴールに向かってバックキャストで話せるようになってきました。」(清田さん)


(左)課長補佐:清田和美さん、(右)課長:角田祐一さん

今回の「風土改革」プログラムの中での「組織ビジョンの作成」が、メンバーの意識や行動の変化をもたらすきっかけとなりました。組織の存在意義やビジョンと自分を重ねることで、現在の仕事の意義や自分の将来を考えることにつながり、日々の業務も主体的に取組むことが出来る様になっているようです。また、共通の「目的・目標」に向かって建設的で前向きな議論が出来るような雰囲気も組織全体に醸成されているようです。

プログラム開始から約3年間に渡って実施された証券一部の「組織風土改革」。
組織内での対話を増やし風通しを良くするところから始まり、最終的には組織のビジョンに向かって未来志向で考え、個人としても成長していける組織となりつつあります。

インタビューさせていただいた方全員が、楽しそうにプログラムを振り返りながらお話しして下さり、「もう絶対以前のような組織には戻りたくない」と口を揃えておっしゃっていた姿が印象的でした。又、部長、課長などの管理職だけでなくメンバーの皆さんも「効率が上がった」「売上を向上させることができた」と、ビジネスインパクトまで把握し、感情だけではない成果を実感していたようでした。

「組織風土改革という看板をあえて掲げていることに、成果云々の前に、そういうことに本気で取り組もうとしている組織なんだ、という強いメッセージを感じました。少なくともリーダー層は、組織のことを考えている場所なんだと思えたし、そういった思いを感じながら仕事ができることに安心もしたし、自分もその一部になっていくんだなとも感じました。組織風土改革と証券一部の組織運営が一体になった感じがして、すごくいいなと思いました。」と、今回インタビューさせていただいた中で最若手の望月さんが語ってくれました。

「組織風土改革」という誰しもが身構えてしまいそうなテーマに、真面目に面白く取り組むことで、メンバーは安心感を覚えて、心理的安全性のある組織づくりにしっかり役立っているのだと、皆さんのお話からたくさん感じ取ることができました。今後、メンバーが新しく入ってきても自主的に「自分史共有」と「マネハプ対話」を実施することでコミュニケーションを良くし、今と同じ雰囲気、同じモチベーションのままの組織でいてくれることを願っています。


担当コンサルタント、山中より

3年間、組織風土改革プログラムを伴走させて頂く中で、改めて課長~メンバーまで様々な変化を感じています。
組織風土改革がスタートした時「これで本当に変わるの?絶対無理でしょ」と思っていた課長が、1年後には「やればできるんですね。自分だけでなく、メンバーも変わってきました」と語ってくれたのが、今でも印象に残っています。

当初は、多くのメンバーが「このままでいいのかな・・」「自分一人が言っても、どうせ変わらない」「目の前のことをこなせばいい・・」など、モヤモヤ感やあきらめ感を持っていた状態で、多くのメンバーがプログラムに対して半信半疑だったと思います。しかし、組織づくりについて学び、実践しながら、仲間と内省と対話を繰り返す中で、徐々に「自分達の組織をより良くしていこう」と自分事化する人たちが増えていきました。組織風土は「そこで働く一人ひとりの意識と行動」から醸成されますが、 3年経った今では、この活動が当たり前のように定着しており、一人ひとりの発言や行動が大きく変わってきたと感じております。


今回のプロセスを通じて改めて感じた「変化を生み出すための鍵」が3つあります。
1つ目は『関係性の土台を築く』こと。内省と対話を通じて、相互理解を深めることで、思っていることを素直に発言できる、相談できる、お互いを尊重する、サポートする関係が、変化の土台になると感じました。
2つ目は『一人ひとりが活動を自分事化する』こと。お互いに気軽に話せる関係性を築くことに加え、今の仕事でおかしいと思うこと、こうした方が良いと思うことを出し合い、行動し、少しずつ成果を実感することです。そこで生まれた効力感が「自分達でも変えられる」という思いにつながり、更なる主体性を生み出していきます。加えて、組織の将来や自分の将来のことを一人ではなく上司や同僚と対話を繰り返すことで、組織をより良くしていくことの自分事化が少しずつ進み、組織全体で活動が推進されるように変わっていきました。
3つ目は『あきらめず、継続して取り組む』こと。このような活動は一過性で終わりがちですが、継続することの大切さを改めて教えて頂きました。当たり前ですが、描いたプラン通りに進むわけではなく、様々な壁にぶつかってきました。その度に部長・副部長・事務局、時には課長層とも相談をしながら、試行錯誤しながら乗り越えてきました。これは、一人ひとりの思いが醸成されたことはもちろんですが、「この組織を変えたい」という情熱を持ち、諦めずに色々な人を巻き込もうとする事務局の存在が大きかったと思います。

今後はこれまで培った組織風土を土台に、自分達で描いた2030年のビジョンの実現に向けて、組織のメンバーが一体となって更に活動を推進するフェーズに入ります。引き続き、一緒に試行錯誤しながら取り組みたいと思います。









こちらの事例につきまして、
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