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機能不全に陥った「対話」にいのちを取り戻す③
ー私たちが直面している対話における課題(後編)ー

小森谷 浩志2026.07.24

対話疲れ、1on1の形骸化、心理的安全性の誤解を超えるために
対話が普及したからこそ、対話の本質が問われているの続編です。
前回、5つの課題について考察しました。

  1. 対話が制度化・儀礼化し、「いのち」を失っている
  2. 対話の定義が曖昧で、面談・雑談・進捗報告と混同されている
  3. 聴いているつもりで、実際には評価・判断・誘導している
  4. 沈黙・内省・自己の深部への接触が不足している
  5. 心理的安全性が、優しさや衝突回避と誤解されている


今回は、あと5つを考察、どのように対話が劣化してしまうのかについても考えてみました。

対話において直面している主要な課題の後編
6. 同質性の中で予定調和に陥っている
対話の深さは、問いの質に大きく左右されます。しかし現場の問いは、しばしば浅くなります。
「最近どう?」
「困っていることある?」
「今後どうしたい?」
「成長のために何をする?」
「チームを良くするには?」

悪いわけではありません。しかし、これだけでは深まりにくい側面があります。なぜなら、問いがお互いの既存の認識の範囲内にとどまってしまうからです。

特に日本の組織においては、対話が同質性の中で留まるという課題があります。似たような経験、似たような価値観、長年引き継がれている社内言語を共有している人たちが集まると、話は通じやすくなります。阿吽の呼吸、空気を読む力、暗黙の了解は、日常業務を円滑に進めるうえでは有効に働きます。

しかし、それが過剰に対話の場に持ち込まれると、互いの前提が問い直されないまま、既知の範囲内で話が堂々めぐりになってしまう危険があります。
同質性の高い場では、対立は表面化しにくくなります。誰かが明確に反対するわけではない。大きな衝突も起きない。場は一見、穏やかに進む。

一方で、そこでは、異質な視点が持ち込まれない、受け入れられないことがあります。全員が何となく分かっているつもりになり、誰も根本的な問いを立てない。結果として、対話は深まっているようで、実際には同じ認識、同じ解釈、同じ解決策の周辺を回り続けます。これが、同質性の中で起きる危うい側面です。

この堂々めぐりは、日本に特徴的な「空気」の力とも関わります。場の調和を乱さないこと、相手の面子を傷つけないこと、あえて言語化しないことが重視されると、対話は本質的な問いに踏み込む前に、無難な合意へと収束していきます。

「それは難しいよね」
「まずはできるところからやろう」
「コミュニケーションを増やそう」

といった結論は、一見もっともらしいものです。

しかし、その背後にある前提、構造、権力関係、責任の所在、未処理の葛藤が問われないままであれば、対話は予定調和に終わります。

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