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高橋克徳 連載コラム「人がつながる組織をつくる」9
~「働き方」改革から「しごと」革新へ~

高橋 克徳2022.04.27

ここ数年、働き方改革への社会的要請が高まり、個々の事情に合った柔軟な働き方を可能にする制度や仕組みを導入した会社も増えてきました。
しかし、日々の仕事の仕方が変わらない中で、そうした制度を活用できる人は限られ、なかなかうまく行かないという声も大きかったと思います。
ところがコロナをきっかけに、リモートワークや在宅勤務、時差出勤や出社制限など、個人の裁量に任せた働き方が一気に導入され、意図しないスピードで働き方改革への動きが加速しました。

ただここで確認していただきたいのは、働き方が変わったことで、人がイキイキし、仕事への思いが持てるようになり、それが組織全体にも良い影響を与える状況になっているのかということです。
単に孤立する働き方が増え、互いの仕事への姿勢や思いも見えなくなってしまっては、組織全体の仕事への活力は出てきません。
ここで改めて、みんなで仕事というものと向き合い、自分たちで良い仕事の仕方を再構築するという仕事革新への取り組みが必要です。
具体的には以下の3つの取り組みを考えてみてください。

最初の取り組みは、互いの仕事、仕事への思いを重ね合うというものです。
これまでどんな仕事をやってきたのか。その中で、この仕事の大変さとコツ、押さえどころとは何だと思ってきたか。この仕事を通じて得た小さな喜びとは何か。
決して前向きに働いてきたわけではない人も、ちょっとした瞬間を重ねてみると、そこに互いの苦労も頑張りも見えてきます。
そんな仕事への向き合いをみんなでやってみます。
 
次に、顧客や社会の目線で自分たちの仕事の価値を問い直します。
顧客の顧客、顧客の先にある社会のニーズって何だろう。自分たちを選んでもらっている理由はどこにあるのだろう。顧客や社会が求めているものが変わってきていないだろうか。私たちはその変化に応え続けていけるだろうか。そんな対話を通じて、自分たちが追求し続ける本当の価値が何かを見出し、やり続けるべき仕事、止めても良い仕事、新しく生み出したい仕事を洗い出してみます。
 
その上で最後に、そんな風に仕事の喜びや悩みを共有しながら、絶えず顧客や社会のために何ができるか、もっと良い方法がないかを一緒に考え、仕事の仕方を自分たちで変えていく新しい仕事のプロセスをつくります。
互いの仕事の状況をシェアし、互いの小さな課題や思いを持ちより、一緒に対話をしながら、解決していく仕事の進め方、プロセスを一緒に考えてみます。

こうしたプロセスを通じて、仕事は会社が決めたことに「仕えること」ではなく、「誰かのために何かをなすこと」という本来の思いを取り戻し、みんなで「しごと」も「しごとの仕方」もつくっていくという発想に変えていきます。
そんな仕事革新、しごと革新への取り組みをぜひ考えてみてください。

※ 本コラムは、日本商工会議所会報2021年12月号への掲載文を加筆・修正したものです。

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